Intermodal がAmsterdamで11月8日から10日まで開かれた。COVID-19で開催できず、3年ぶりの開催であったので私も今年は何とかして出席したいと考えていましたが、諸般の事情で今年は断念しました。
Intermodal Amsterdamに出席したContainer Interchange 副社長であるPhil Behenna氏より「今年のIntermodal Amsterdamのことで寄稿したい」という連絡がありました。
出席を諦めていただけに大変嬉しい提案ですので喜んでお願いしました。ところが彼は今までの仕事の疲れと旅の疲れが原因で体調を壊されていました。彼によると天気の良かったAmsterdamからサンフランシスコに戻られたといえども、彼の住まいはネバダ州境、今はかなりの雪が積もっているとのこと。その寒さも体調を崩された原因かもしれません。今は、いつも元気な彼に戻っていることと思っております。特別寄稿に深く感謝を申し上げたい。
それから11月7日のCOA(Container Owners Association)がIntermodal の1日前に開催されるが、多くの船会社、リース会社、コンテナメーカー等々コンテナ関連の方が出席する会合もだいぶ長く参加していないので懐かしいものを感じます。COA Secretariat のMr. Patrick Hicksにも次回のIntermodalで是非お会いしたいと考えています。
株式会社EFインターナショナル
代表取締役 中尾治美
Intermordal Europe 2022に参加した感想 by Mr.Phil Behenna
ある意味、今まで行ったインターモーダルショーの中で、特に開催のタイミングという意味で、最も興味深いショーの一つだったと思います。もし2020年や2021年にショーがあったとしても、リース会社には在庫がなく、船会社は当然のように、この前例のない時期に、運賃を稼げる航路(中国・アジア⇒欧米)の貢献度を最大化することに力を注いでいましたから、むしろ退屈なものになったのではないかと思います。
しかし、2022年11月、世界は急速に変化しており、まさに然るべき瞬間に然るべき人に会うことができるという意味で、このインターモーダル・エキスポのタイミングは思いがけない程に完璧でした。
そして、最大の番狂わせは、ここ3年間好調だった荷動きが急激に落ち、それがすべてを変えていることです。荷動きの急落により、船会社は非常に積極的に出航調整(欠便)をする必要に迫られ、先のことを考えなければならなくなりました。何故ならa) 享受していたここ数年の驚異的な収益が終わりを告げつつあり、b) 需給面(配船スペース vs 貨物需要)での反動はかなり深刻なものになる可能性があるからです。
コンテナの面では、世界も非常に大きく変化しています。2019年には約270万TEUの新造コンテナ利用があったと思います。2021年には700万TEU以上のコンテナが造られましたが、それでもまだ十分ではありませんでした。
十分ではなかったのは、先ず、第一に、需要が非常に多かったということもありますが、主にサプライチェーンがコロナ禍の影響を大きく受けたためです。サプライチェーンのシステムが極めて非効率に陥り、港やターミナル、鉄道、トラック会社、デポなど、我々の業界のインフラ全体が閉塞し、本船の往復航に要する時間が、恐らく、およそ75日、実入りの場合には150日に延びました。
第二に、コンテナが十分でなかったのは、船会社が意識的に運賃を稼げる航路を中心としたオペレーション、即ち、単に船をアジアの主要港に戻し、高値の貨物を再び積み込むことに集中し、需要と供給のバランス、コンテナのアンバランス対策を行わなかったからです。恐らく、コンテナ過剰や不必要な場所にあるコンテナに関しては、後々、対応できるだろうと考えていたのかもしれません。
さて、その後日が今になってやってきたわけですが、荷動きが落ち、サプライチェーン上のボトルネックが大幅に解消し、過剰なコンテナがそこら中に溢れています。多くの人に、どれくらい過剰のコンテナが流通していると思うか聞いてみたところ、400万TEUという数字がほぼ中央値でした。つまり、コロナ禍前の約2年間に製造されたコンテナと同数の過剰なコンテナが、システム上でジャブジャブ流通していることになります。そしてこれらのコンテナは、国際的な供給システムから排除されなければならないのです。
現在、これらのコンテナの多くはリースに出されており、可能な限り、船会社はこれらのコンテナをリース会社に返却しようとしていますが、いくつかの課題があると思います。
1つ目は、コンテナの多くが長期リースであり、簡単に返却出来ないことです。2つ目は、サプライチェーンの一部が改善されたとはいえ、世界中のデポが非常に混雑していることです。そして、リース会社がどんなに頑張っても、リースコンテナの返却を受けるためのスペースを確保することができないのです。デポはコンテナで溢れており、リース会社は船会社に、多くの場所でリースコンテナの返却を受けられないと、ただ言い始めています。どのような結末を迎えるか分かりませんが、理論的には、船会社は契約上、リースコンテナを返却する権利を持っていますし、リース会社が不可抗力とでも言わない限り、簡単には解決できないでしょう。船会社はリースを継続することに同意しなければならないかもしれませんが、リース会社は船会社にコンテナを使い続けて貰うために、リース料の課徴を止めるか、あるいはリースを継続するためにクレジットを支払わねばならないかもしれません。
第二の問題は、国際コンテナの多くが売却・国内市場に出回り始めていることです。この2、3年の間、売却・国内市場は基本的にコンテナに飢え、入手可能性は事実上ゼロになり、価格は高騰していました。今、我々は、売却・国内市場にコンテナが再び流入し始めており、アメリカの沿岸部では価格が劇的に下がっているのを目の当たりにしています。一方、内陸部の価格はまだかなり高い水準にあるようです。即ち、トラックやドライバーの不足、燃料費の高騰、それに加えて、カリフォルニア州に入るトラックに対する厳しい環境規制などにより、特に、南カリフォルニアを中心とした沿岸部からの輸送にはかなりのコストがかかるためです。しかし、私は価格が下がることを期待しています。また、世界的に見ても、コンテナの中古価格が劇的に安くなる時代が到来しているようです。すでに20フィートで2000ドル以下の新造コンテナの見積もりを聞いています、中国での中古コンテナの価格は1100ドルになったそうです、更に、中古コンテナの価格は確実に3桁まで下がると予想されていますので、あとはどれだけ下がるかという問題です。
というわけで、今回のショーの感想はいくつかありますが、劇的な変化を目撃する絶好のタイミングでした。船会社とっては荷動きに対する懸念、リース会社にとっては返却されるコンテナの数、それらをどうするかという懸念が現実となる兆しがあります。そして売却・国内市場では、入手可能性が突然高まり、価格が劇的に下がるという逆転現象が起きる予感がしています。
面白い時代になったものですね!
Phil
(訳:中津正貴)
Phil Behenna氏略歴
Container Interchange LLC 副社長
https://www.containerinterchange.com/
1991年 P&OCL(ロンドン)勤務。中東、南アジアの機器とトレードマネージメントを担当。
1996年 上海でP&OCLオーナー代表に就任。
2000年 香港のInternational Asset Systems (IAS)に入社。
2001年 米国にて上級副社長就任。
2013年 Conteiner Interchange LLC (CI)を設立。