【コンテナ市況レポート特別寄稿】私のコンテナハウス紹介

  • by 中尾 治美

小生のコンテナ市況レポートは日本語と英文を毎月欠かさず出している。
すでにこのレポートを発信してから11年目に入る。
この会社を立ち上げた頃はコンテナ市況について聞かれることが多く、電話での対応がかなり多くなったので考えついたのが毎月、市況の変化をコンテナ市況レポートとしてお客様にお知らせすることであった。
コンテナの動きが如何に深く世界の経済、政治に関わっているか?
コンテナリース市場、新造・中古コンテナ価格動静等をコンテナリース会社、船会社、コンテナメーカーの活動を通して知っていただくことを目指した。

また、一方、我々日本人、日本と言う国が現状の引きこもり状態からもっと世界に出て行き日本をもっと世界の人に理解してもらうことの大切さを感じたからである。
世界平和に貢献できる国民は日本人が最適であると考えている。
でるから、ここに日本人有りと発信することは必要であると考えたからである。

最初の発信月、2000年4月から日本語・英語でコンテナ市況レポートを発信している。
但し、英語版は1~2日遅れる。
それは自分で自分が作成したレポートを納得行く内容で英語に置き換えているためである。
しかし今年5月分からは弊社に入社してくれた英語に堪能な大和田千鶴女史にお願いしているので英文への翻訳時間が早くなり、日本語と同日に発信できるようになった。
また、英語による表現力が格段に上がったと感じている。

前置きはこのくらいにして、レポート発信後、多くの方からの反響をいただく。
日本だけでなく海外の方からも多くの励ましのメール、お電話をいただく。
年2回上海・欧州でContainer Owners Association(COA)主催のIntermodalにEFI設立の翌年から参加している。
お会いする人に小生のレポートを失礼ながら送り続けているが、ロッテルダムで記憶にない人から親しく“レポートよんでいるよ!”と言われたときはやってて良かったと思った。
ちなみにCOA SecretariatのMr. Patrick Hicksも読者の一人である。
折に触れて励ましのメールを頂く。

今回紹介する話は、小生がTriton東京の責任者をしている時、一度お会いした後、EFIでIntermodalに参加したときに上海、ハンブルグ、ロッテルダムでお会いしたMr. Phil Behennaのことである。
先月号で日本でISOコンテナを使って家、倉庫、お店、ホテル、別荘を建てる場合お役所の許可が必要であるという話をし日本でコンテナを使って思い思いのコンテナハウスが作れたらすばらしいのにと書いたら彼から、今彼は新造40FHi-cubeコンテナ11個を使ってネバダ州に住んでいるというメールを頂いた。
それで急遽、EFIの日本のコンテナ市況レポートの読者に彼のコンテナハウス紹介について寄稿していただく事になったということである。

株式会社EFインターナショナル
代表取締役 中尾治美

コンテナハウスの紹介 by Mr.Phil Behenna

はじめに

妻と私は輸送用コンテナの家に住んでいます。 11本の40HCDコンテナで構成されていて、海抜約1800mのネバダ州北東部に住んでいます。場所は離れていて、最寄りの小さな町まで約50kmあります。
私たちはいくつかの理由で輸送用コンテナに住むことを選びました。

1)私は仕事でコンテナ事業に携わってきました。
2)輸送用コンテナは、私たちの場所(地震、風害、山火事が発生しやすい)に適していると考えたからです。

2015年に中国でコンテナを購入し、ロングビーチに移送して最初の改造(壁の切り抜き、ドアや窓の開口部)を行いました。それから、コンテナを自分達の場所(約1000km)までトラックで運び、クレーンを使用して基礎に降ろしました。

建築の順序は次のとおりです。

1.ロングビーチで最初の改造を行います
2.現場に基礎を構築します(周囲の壁と、コンテナを支えるための1.5mの高さの台座)
3.コンテナをトラックで運び、基礎の上に降ろします
4.コンテナ同士、また基礎にコンテナを溶接します
5.コンテナの上に傾斜した屋根を設置します
6.屋根と壁を断熱します
7.配管と電気工事を完了させます
8.フロアを完成させます
9.塗装します
10.家具を備え付け入居します

【Q1】建てるのは簡単でしたか?
【A1】なかなか良かったです。思ったよりは時間がかかりましたが、毎年雪が降り、建築できる時期がかなり短い地域に住んでいます。建築を依頼した業者も以前にコンテナでできた家を建てたことがなかったので、彼らも学んでいました。

【Q2】どのようにして建築要件を満たしましたか?
【A2】私たちは、建築プロセス全体を通じて地方自治体と連携してきました。彼らはこれまでコンテナハウスの監督をしたことがありませんでした。彼らは興味を持っていましたが、彼らの建築基準にはコンテナ住宅については何も規定がありませんでした。そのため、直接関係のない要件に準拠しなければならない場合がありました。彼らは、建築プロセス中おそらく15回建物を検査しました。私たちは、家がしっかりと建てられていることを確認するために、構造エンジニアの会社を起用しました。

【Q3】コンテナホームに住むことのメリットは何ですか?
【A3】
風:風に対してとても強い感じがします。全体の重さはおそらく80〜100トンで、頑丈に感じます。ハリケーン、台風、竜巻に対していいパフォーマンスを発揮すると思います。

火災:「耐火性」ではありませんが、従来の木造/合板製の家よりも引火するのにはるかに長い時間がかかると思います。

地震:コンテナの屋根をシンプルで飾り気のないものにすることで、地震の際の落下物がありません。建物は動くかもしれませんが、住人はかなり安全だと思います。

珍しさ:面白さがあります。私はコンテナの屋根と壁を見るのが好きです。私はコンテナの幾何学的で規則性のある形状が好きです。また、壁が金属製であるという事実は便利です。磁石を使用して写真やその他のものを吊るすのが簡単だからです。

【Q4】考慮すべき重要な点は何でしょうか?
【A4】
a)コンテナの断熱をしっかりすることです。壁と、屋根裏部屋の屋根の上に、独立気泡発泡ポリウレタンフォームを使用しました。これにより、エアコンが無くても外気温が40℃の場合で最大でも約25℃に、冬(-25℃まで下がります)は暖房無しで約17℃に保たれます。

b)普通の木造家屋(特に日本家屋?)であれば呼吸していますので、水蒸気は建物の外に逃げることができます。金属製のコンテナハウスは、はるかにしっかりと密閉されています。そのため、特に湿度の高い環境や寒い環境、または人間や動物の呼吸が多い場所では、建物の湿度を下げる方法(除湿機、窓を開けるなど)を確保する必要があります。

c)輸送用コンテナは同一ではありません。たとえば、標準的な40HCDのグループの寸法でもわずかな違いがあると考えておく必要があります。それらは、1ミリメートル単位まで同じな訳ではありません。建設中にその差異に気付くでしょう。

d)発泡フォームを使用して断熱する場合は、電気配線を壁の金属製コンジット配管内に配置する必要があります。そうすることで、電気ケーブルを交換する必要がある場合、発泡フォームを壊すことなく、パイプを通して引っ張ることができます。

e)初期段階で、膨張・収縮のノイズが発生するのはごく普通のことのようです。船に乗っているような感じです。

f)(私たちがそうであったように)建築スペースがたくさんある場合は、平屋で建てることができます。スペースが少ない場合は、コンテナを積み重ねて(直接上に重ねるか、隙間を残して)、上方向に建築することは間違いなく可能です。

【Q5】これまでに直面した最大の問題は何ですか?
【A5】冬の湿気を取り除く方法を考え出すことです!私たちの家には大人2人の他、犬がたくさんいます!呼吸量が多いです。室内の湿度は、朝一番では寝室で65%に達することがあり、冬には窓の内側に結露が発生する可能性があります。私はその問題を解決しようとしています!

Phil

(訳:大和田千鶴)

  

■Phil Behenna氏より

私は1991年にコンテナ船業界に加わり、ロンドンのP&OCLに勤務し、中東、南アジアの機器とトレードマネージメントを担当しました。そして、旧ソビエト連邦のトレードマネージメントを引き継ぐために1994年にロッテルダムに引っ越しました。1996年には上海に異動し、P&OCLのオーナー代表を務め、その後(Nedloydとの合併後)中国のIT、カスタマーサービス、および現地のトレードマネージメントを担当しました。1998年から1999年にかけては香港に移り、極東、東アフリカ、湾岸トレードのゼネラルマネージャーを務めました。

2000年には、アジア担当副社長として香港のInternational Asset Systems(IAS)に入社し、2001年に上級副社長として米国に移りました。2013年末までIASに在籍し、その時にContainer Interchange LLC(CI)を設立し、以来そこで働いています。CIは、海運業者間でコンテナライズされた機器の受け渡しに特化しており、インバランスを減らし、コストを節約することを目的にしており、世界中のあらゆる主要な海運会社と取引があります。

私の興味(コンテナ輸送以外で!)としては、代替的で革新的な住宅設計や代替エネルギー管理があります。私のコンテナハウスは完全に太陽光発電でまかなわれていて、電力会社には頼らずに運用できています。

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