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双子の赤字に挑むトランプ流改革:世界を動かす強い意思と使命感
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2月7日(金)、石破首相は、トランプ米大統領との会談後の共同会見でトランプ米大統領のことを“テレビで見ると個性強力で怖い方との印象が有ったが、実際は誠実で強い意思を持ち、自国、全世界に対して強い使命感を持たれた方”と自分の率直な言葉で表現され、トランプ米大統領は石破首相のことを外交辞令でも、“非常に強い男”と表現されていました。良いスタートを切ったようです。トランプ大統領は、バイデン前大統領が否定した日本製鉄のUSスチールの買収を投資に置き換えることで難問題の交渉余地を残すことができたようです。色々と外交について不安視されていた石破首相でしたが、元首相、安倍さんが培ったトランプ氏との関係を活かし、新たな黄金時代を追求する日米関係を確認できたことは良かったと思います。
トランプ米大統領は時代が求めた寵児か?少なくとも米国民が彼を大統領に選んだのは事実です。それも2度も!“カナダを米国の51番目の州?”、“グリーンランド買収!”、”パナマ運河を取り戻す!“、”輸入品に関税を掛ける!“等々。彼の言葉、交渉のやり方を見ていると非常に理解しやすい人物であると思います。彼の一つ一つの政策の良し悪しは別にして、それなりの理由がありそうです。今までの民主主義国家では考えられない指導者です。多分、民主主義政治の決められない政治がもたらした現象なのかもしれません。我々も是々非々で冷静に対応していく必要があると思います。
父親の不動産業を引き継ぎ、事業拡張と倒産を幾度も経験しアメリカ国民のために強いアメリカを実現しようとするビジネスマン大統領です。彼でしかできないことをやり遂げようとしているように見えます。それも任期中の4年間に結果を出そうとしています。
“Make America Great Again (MAGA)!” の言葉にあるように、“双子の赤字”と呼ばれる、“財政赤字”と“貿易赤字“を解消し、もう一度アメリカを強くしようとしています。因みに、米国財政赤字は2024年度(2023年10月から2024年9月)、1兆8330億ドル($1.00=Yen150換算で、274兆9500億円)、貿易赤字は1兆2117億ドル(181兆7,550億円)でした。想像を絶する赤字です。貿易関税はそのためのモノです。2月4日からメキシコ、カナダに25%の関税を掛けるという話も1か月先延ばしされました。
一方、財政赤字解決のために米政府効率化省(DOGE)を設立し、米実業家、イーロン・マスク氏に任せました。但し、2026年7月4日までに解散する時限組織です。彼は歳出抑制のために大規模な政府職員の削減に動いています。その結果、数万人が応募したと報道されています。政権が変われば、今回の様に民主党から共和党に変わる場合、数千人の職員が職を失い、その分を共和党系の職員が職を得るので職員の数の変化はありません。その移行期に慣れている政府行政機関はDOGE改革に対応できると考えます。イーロン・マスク氏はAI(人工知能)を駆使して、トランプ大統領の期待に応えると考えます。この小さな政府を全世界が注目しています。
強いアメリカ、苦悩の欧州、蘇る中国:世界経済変化の兆し
米労働省が2月7日に発表した1月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数が前月から14万3000人増加。失業率は4.0%で、前月から0.1%改善しています。平均時給は前月比0.5%上昇。前年同期比、4.1%上昇となっています。しかし、失業の平均期間が過去半年で21週から24週程度まで伸びていることは、企業も雇用に慎重になり、職探しが難しくなっている現状が見えてきます。しかし強いアメリカ経済はまだまだ健在です。
ユーロ圏景気は徐々に回復してきています。しかし製造業は低調で、エネルギーのコスト高に悩んでいます。特にドイツの製造業は、中国への輸出が中国の内需不足により減速し、不振にあえいでいます。一方、サービス業が好調です。インフレ率の低下で消費力が出てきたため、ECBは利下げを続け景気を後押ししています。
中国は1月29日から始まった春節が2月4日に終わり、通常の生活に戻りつつあります。この春節の期間に延べ90億人が国内・国外に移動したと中国を代表する国際紙“環球時報”(1月27日付け)は伝えています。民族大移動です。この莫大なエネルギーを考えると中国経済の復活も時間の問題であると思います。
米東岸港湾ストライキ回避、紅海問題は沈静化へ
米東岸・ガルフ港湾労組(ILA)と使用者団体(USMX)は、1月8日に6年間の基本協約が暫定合意に達したと発表しました。これで米国東岸港での大規模ストライキが15日を待たずに解消されたことで、年初の物流混乱が起きず良かったと思います。
イスラエルとイスラム組織ハマスとの停戦合意を受けて、イエメンの武装組織フーシ派が船舶の攻撃を縮小し、紅海情勢は沈静化に向かっています。スエズ運河の航行再開の時期は近いと思いますが、船会社は完全に航行上の安全が確保されるまでは喜望峰回りを続けるようです。但し、2月から新アライアンスがスタートしましたので、その移行期と重なり今後各ハブ港での混雑が見込まれます。
海運史上最大の船舶供給へ:新記録更新が示す未来図
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2024年末のコンテナ船発注残は830万TEUで、これまで過去最高だった2023年初の780万TEUを大きく上回り、最高記録を更新しました。2024年の就航量は290万TEUと過去最高を記録したにもかかわらず、2024年中に440万TEUが契約されました。
2025年から2028年の間に毎年190万TEUが竣工される計算です。2027年が220万TEUでピークとなる見込みです。
6倍増の利益予想が示す未来:海運3社とONEの躍進
日本郵船、商船三井、川崎汽船の共同出資会社、Ocean Express Network (ONE)
は2025年3月期の税引き後利益を40億3400万ドル(約6200億円)とし、これまでの予想30億9500万ドル(約4735億円)から引き上げました。その結果、2025年3月期の連結業績予想の経常利益は、日本郵船が前年同期比84%増、4800億円、商船三井が同58%増、4100億円、川崎汽船が同121%増、3000億円と大幅増益を見込んでいます。
この業績予想に占めるコンテナ船、即ち、ONEからの利益は、日本郵船が前年同期比5.5倍、2502億円、商船三井が同6.8倍、2037億円、川崎汽船が同5.7倍、1938億円と、ONEは引き続き親会社3社の利益創出に大いに貢献しています。
海運市場の新常態?コンテナ運賃、コロナ前の2.4倍維持
コンテナ船運賃指標(WCI) 2025年1月30日 ※Drewryより参照 | |||
航路名 | ドル/FEU | 前週比 | 前年比 |
総合指数 | 3,364 | -2% | -12% |
上海/ロッテルダム | 3,274 | -5% | -30% |
上海/ロサンゼルス | 4,771 | -1% | 8% |
上海/ニューヨーク | 6,228 | -1% | 2% |
総合指数は、コロナ期の2021年9月時点に比べると68%低くなっていますが、コロナ前の2019年の平均水準と比較すると約2.4倍となっています。年初から現在までの総合指標の平均値は3711ドル/FEUとなり、過去10年間の平均水準と比較すると835ドル高くなっています。Drewryは船腹量の増加により運賃は今後若干下落すると予想しています。1月31日に公表したCancelled Sailings TrackerによるとWeek6(2月3日~2月9日)からWeek10(3月3日~3月9日)までの東西航路(太平洋航路、大西洋航路、アジア/欧州・地中海航路)往航全体の欠航率は14%となると見ています。
コンテナリース業界の警戒感:返却ラッシュの足音
コンテナリース会社は船会社のスエズ運河通航の再開に伴い、余剰となるコンテナの返却に対して警戒しています。今年の後半以降、徐々に船会社からの返却が増えると思われます。コンテナリース会社の10年以上の古いコンテナの売却に全世界で拍車がかかると思われます。現在は引き続き96~97%の高い稼働率を維持しています。
2025年1月の新造コンテナ情報
今年1月の新造コンテナ価格は$1900 per 20fでした。先月より$50、2.6%の値下がりとなりました。今月は鉄及び木材の値下がりが、コンテナ価格低下の大きな要因です。1月の新造コンテナ生産量は、579,829 TEU(Dry: 550,835 TEU, Reefer: 28,994 TEU)でした。新造コンテナ工場残は対前月増減数で比較すると、総数は、-312,616TEU(Dry: -312,499 TEU, Reefer: -117 TEU)で、前月比でみると、新造コンテナ総数、-35%(Dry: -36%、Reefer: +-0%)となりました。Dryが4割近い生産減少となっています。Reeferはコンスタントに3万TEU近いOrderが入っています。
訪日客3687万人、消費8兆円:変革迫られる日本企業、国際展開のチャンス
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日本人、日本の会社は、今後は海外に出なくても外国人と接触すること無しに生きていくこと、商売することができない時代が来ています。また我々も外国人なくしては生きていくことは難しいと考えます。国内で何処を見ても外国人の方が目につきます。Overtourismで外国人のマナーが悪いと嘆いている場合ではないと思います。日本から帰ったら集団生活のマナーが良くなったと感謝されるぐらいのことを日本人、政府が一緒になって考えたほうが良いと思います。
2024年の訪日外国人旅行者(インバウンド)数は3687万人で、その消費額は8兆1395億円の過去最高額を記録しました。外国人旅行者のリピーターが増えています。日本人以上に日本を知り、東京、京都、大阪以外の地方を訪れ、地方の活性化に貢献しています。日本政府は2030年に6000万人の訪日外国人を見込み、その消費額、15兆円を目標に上げています。
日本企業は国内だけを見る内向き経営を止めて、海外の視点から日本企業の在り方を見直すと、今やっている商売を大きく進歩させ、成功に導くことができると確信します。大企業だけでなく、特に中小企業に海外に出て商売をすることを勧めたいと思います。まずは現地の企業と合弁企業を始める。その場合は現地の人に経営を任せることが一番だと思います。慣れてきたら独立して自分でやってみることです。その成功体験を元にして、隣の国で同じ事を繰り返す。色々障害はあると思いますが、強い日本人のチャレンジ精神で海外に出ていってほしいと思います。それが相乗効果を生み日本の中小企業を強くすると確信します。
日本人が持っている平等、公平性、良心、相手のことを考える優しさ、思いやり、そして近江商人の3方良の経営理念(売り手良し、買い手良し、世間良し)は海外で大いに役に立つと思います。特に若い人に言いたい。$1.00=Yen 150レベルの円の弱さを逆手に取って、海外に出て起業してみては如何ですか?日本で粉骨砕身働くより、儲かること請け合いです。その上、海外に出て多くの国の人々と会い、“日本人精神”、“日本人とは何たる者か!”を知ってもらうことは今後日本人が世界で国際平和に貢献する役割を果たす上で大切であると確信します。