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トランプ氏再任に期待と不安。二分される世界への懸念。
日本時間6日の夕方7時、米国前大統領ドナルド・トランプ氏が、各州の大統領投票代理人の過半数である投票数272を確保し、大統領に返り咲くという報道がなされていました。世界のリーダーとしての米国大統領選挙は非常に興味をそそる話題です。特に民主主義を代表する国、世界の自由主義体制の代表である米国の指導者を決める選挙は我々にとっても非常に重要であると感じます。今、世界が専制主義国と自由主義国とに区別され、その勢力分布が、人口比、GDP比に置いても大きく変わろうとしている時代です。自由主義国のリーダーである米国でアメリカ・ファーストを自認するトランプ氏の47代米国大統領就任が決定する選挙でした。自由主義国を自認するトランプ氏ですが、米国を二分するような政策をとり、何をやりだすのかわからない指導者というイメージがあり、米国国民以外の日本人である私にも今後の彼の米国国政に対して不安を覚えます。選挙戦で民主党候補者の現副大統領であるカマラ・ハリス氏を罵倒し、蔑むようなトランプ氏の言動・態度に対してどうしても抵抗を感じてしまいます。果たしてこのような人格の人を米国大統領にして米国民は良いのでしょうか?
現在、全世界が直面している世界を二分するような現状において、自由主義国の代表として、果たして上手く政局を乗り越えていくことができるのでしょうか?確かに、トランプ氏は米国の低層部の国民からの支持を得ているように見えますが、それはトランプ氏の資質でなく、住みにくい現状を変えてもらいたいという希望をトランプ氏に託しているのではないかと感じます。米国の殆どの人が米国以外に出たことがないと言われている国民ですので、その人達が、今、世界が二分されかけている現状を理解してトランプ氏に投票したとは考えにくいですが、米国人がトランプ氏を次期大統領として選んだことは、確かに、閉塞感が漂う世界の政治を変えてもらいたいという期待を感じます。トランプ大統領にそのことをしっかり理解していただき世界を分断するのではなくもっと住みやすい世界にしてもらいたいと願っています。
米国雇用情勢の低迷でFRBは利下げをする?
米労働省の10月の雇用統計によると、非農業部門の雇用者数は前月から1万2000人増でした。市場は11万人3000人の増加予想をしていました。これは9月末と10月初めにフロリダ州に上陸したハリケーンおよび米航空機大手ボーイングのストライキの影響が大きいと見られています。2020年12月以来の最小の伸びとなりました。失業率は4.1%で9月と同じでした。10月の平均時給は前月比0.4%上昇しました。金融引き締めの長期化などを背景に、企業の求人件数は9月に744万人となり、初めてCOVID-19禍前の最高記録である2018年11月の759万人を下回りました。
米連邦準備理事会(FRB)が11月6日、7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催しますが、非農業部門の就業者数が、前月比1.2万人の増加にとどまったことを受けて、今後の雇用減速をくい止めるために、業界筋ではFRBが0.25%の利下げをするという見方をしています。
欧州はマイナス金利政策の後遺症で家計は貯蓄志向
欧州経済は欧州連合(EU)27ヵ国の内20ヵ国で構成するユーロ圏の7~9月期の実質域内総生産(GDP)は、速報値で前期比0.4%増となり、年率換算の成長率は1.5%となりました。国別では、ドイツが前期比0.2%増、フランスは0.4%増、イタリアは0%と横ばいにとどまりました。2022年まで約8年間に及んだマイナス金利政策の反動もあり、将来不安と高金利でお金が消費に回らないようです。パリ夏季五輪の一時的な特需影響が有りましたが、景気不安から貯蓄優先に動く傾向が目立っていますので欧州中央銀行(ECB)は次回12月の理事会で3会合連続の利下げ、0.5%の大幅利下げで景気浮揚政策観測も出ています。
中国の大規模財政支出は景気対策として実効性があるのか?
中国指導部が大規模な財政支出策を打ち出すとの観測が強まっています。国債、地方債を合わせて10兆元(約210兆円)追加発行を決めるのと予想があります。但し、規模に問題であるようです。10兆元は国内総生産(GDP)の8%弱に相当します。2008年のリーマン・ショック時に打ち出した“4兆円対策”時のGDP比13%を下回るからです。融資平台(中国地方政府が出資して作った投資会社)の債務の肩代わりとして使われるとすると、それは過去に積み上がった債務であり、新たに需要を生み出したり成長を促したりすることにはならない可能性があり、財政支出が肩透かしに終わる可能性が高まっています。
上海発のコンテナ運賃高騰!COVID前後の比較と分析
Drewryが10月31日に公表したコンテナ運賃指標(WCI)によると、主要コンテナ船社による運賃値上げが、上海発欧州向けの運賃高騰の追い風となりました。総合指標は、コロナ期の2021年9月時点と比較すると69%低下していますが、コロナ前の19年の平均水準と比較すると約2.3倍となっています。年初から現在までの総合指標の平均値は4017ドル/FEUとなり、過去10年間の平均水準と比較し、1178ドル/FEU高くなっています。中国発のスポット運賃は、クリスマス向けの荷動きラッシュにより、上昇傾向が続くと予想しています。
コンテナ船運賃指標(WCI) 2024年10月31日 ※Drewryより参照 | |||
航路名 | ドル/FEU | 前週比 | 前年比 |
総合指数 | 3,213 | 4% | 129% |
上海/ロッテルダム | 3,396 | 8% | 224% |
上海/ロサンゼルス | 4,839 | 1% | 122% |
上海/ニューヨーク | 5,241 | 0% | 100% |
Drewryが今月1日に公表したCancelled Sailings Trackerによると、Week45(11月4日~10日)からWeek48(12月2日~8日)までの東西航路(太平洋航路、大西洋航路、アジア/欧州・地中海航路)往航全体の欠航率は10%となる見通しで、航路別の内訳は、太平洋航路の東航が59%、アジア/欧州・地中海航路が24%、太平洋航路の西航が18%となっています。
Drewryは今後、アジア/欧州・地中海向けでの欠航が増えると予想しています。しかし船腹供給量の管理を更に強化していかないと、運賃維持や値上げは難しいとの見解を出しています。
ONE業績10倍増!日本郵船ら親会社へも巨額配当
Ocean Network Express(ONE)の2024年第2四半期(7-9月)業績は、喜望峰ルート迂回のスポット運賃好調、米国消費者需要の堅調さ、追加関税前及び米国東岸ストの可能性を勘案した旺盛な前倒し需要のおかげで、税引き後利益が前年同期比10.7倍の19億9900万ドル(約3055億円)となりました。上期(4-9月)の売り上高は38%増、100億7500万ドル、EBITDA(金利・税引き・償却前利益)は3倍の36億3000万ドル、EBIT(金利・税引き前利益)は6.1倍の25億3200万ドル、税引き後利益は4倍の27億7800万ドルでした。2024年通期の税引き後利益予想は、7月31日に公開した予想値から3億5000万ドル引き上げ、30億9500万ドルを見込んでいます。その結果、ONEは親会社である、日本郵船に約5億2700万ドル、(約753億円)、商船三井に約4億3100万ドル(約612億円)、川崎汽船に約4億3000万ドル(約614億円)の配当金を11月15日に支給する予定です。親孝行の息子となったこと各社感謝していると思われます。
収益率低下と投機的発注、コンテナリース業界が抱える課題
コンテナリース会社、各社は現在、99%前後稼働率を維持しているようですが、今年の市況はかなり競争が激しく、収益率は下がってきていると予想されています。
CAIは親会社、三菱HCキャピタルのコンテナ支援を受け、今年、2000億円を投資して、70万TEUを確保するとしています。その内9割以上がDry Containerが占め、残りはReefer Container及び特殊コンテナです。10月末現在、CAIが 60万TEU, Triton 51万TEU, Textainer 34万TEU, Florens 30万TEU, UES 29万TEU等、各社かなり積極的、投機的にコンテナを発注しています。一方、船会社も積極的に自社コンテナの手当てをしています。MSCが96万TEU、 Hapag Lloyd 46万TEU、 ONE 37万TEU、Evergreen 18万TEU、CMA-CGM 15万TEUで、Maerskの発注が6万TEUと少ないのを見るとIntegrator としてコンテナ以外の投資案件で余裕が無いのかもしれません!
船会社もそれなりの大掛かりのコンテナ投資をしていますのでリース会社としてどのくらいの投機的発注をすべきであるか非常に悩ましい処であります。その点、来年1月15日の米国東岸の労使交渉の成り行きが大きな分かれ道になるかもしれません。
2024年10月の新造コンテナ情報
新造コンテナの価格は$50、2.4%値上がりし、$2,100 per 20f となりました。その主な要因は鉄の値上がりです。そのために11月以降の発注は少し落ち着くのではないかと見ています。10月新造コンテナ生産量は、824,951 TEU (Dry: 803,722 TEU, Reefer: 21,229 TEU)で、今年で一番生産量が多い月となりました。生産新造コンテナ量は対前月増減数で見ると、総数が、+14,090 TEU (Dry: +7,357 TEU, Reefer: ―3,267 TEU) となり、前月比率でみると 生産新造コンテナ総数、+1.7% ( Dry:+2.2% : Reefer: ―13.3%)となりました。
新造コンテナ工場在庫数、1,080,840 TEU (Dry: 1,030,684 TEU, Reefer: 50,516 TEU)となりました。Dry が100万TEUを超えました。一方、Reeferはかなり減りました。新造コンテナの前月増減数でみると、総数、+66,556 TEU (Dry: +74,882 TEU, Reefer: ―8,346 TEU)となりました。前月比でみますと、総数は、+6.6%(Dry: +7.8%, Reefer: ―14.3%)になりました。Dryの生産が増え、Reeferの生産が減少した結果です。10月に工場から出荷された数量は、総数、758,415 TEU (Dry: 728,840 TEU, Reefer: 29,575 TEU)となりました。
定年後に起業、15年で確信した自分の使命
最近、コンテナリース会社退職時、リース会社のオーナーから“今後はどうするつもりか?”と聞かれたことを思い出します。その時、私は、世界のTopクラスのコンテナリース会社で26年間勤め上げて米国流の経営を学んだので、“私が学んだ経験を通して、日本の若い人たちに希望、夢を持てるお手伝いをしたい!”と答えたことを覚えています。それは自分で仕事を立ち上げて自分で経営をするということを考えた上での発言ではありませんでした。しかし自然に出てくるエネルギー、自分の経験からやっている仕事の流れ・結果が自然に読める現状を見るにつけ、奇しくも前職リース会社のオーナーに対して答えたことを、2010年に株式会社EFインターナショナルを起業し、この15年間の会社業績・実績に照らして間違っていなかったということを強く感じるこの頃です。定年という一言でその人の能力・経験が生かされないということは社会の大きな損失であることは間違いありません。私の場合は、過去の15年間は誰かに背中を押されて仕事をして来たように思っていますが、今は、自分に見える明るい将来に向かって会社を引っ張っていっているという意識をしている自分があります。もちろん会社を動かすことは私一人でできるわけはありません。そこには私と同じように定年を迎えてもその力を発揮してくれているスタッフがいます。若い人たちが自分の活動の場を得たように生き生きと活躍している場所があります。会社の成長に従い、加わったスタッフにその人が必要としている仕事、その人に合う環境の提供をすることが私の役割であると確信するようになりました。