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歴史的円安からの脱却!為替と株価乱高下の背景
日本銀行の植田総裁は、7月30~31日に開催された金融政策決定会合で金利を0.25%に引き上げることを決定しました。そして、同じく7月30~31日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は9月の利下げに前向きな姿勢を示しました。その結果、円ドル相場が円高に動き出しました。8月5日(月)円ドル為替レートは一時、$1.00=141円台まで上がりました。現在、円ドルは$1.00=145円台で推移しています。やっと円ドル為替レートが正常化したなと言う印象です。
2022年3月FRBはコロナ禍の記録的なインフレを抑制するために、過去2年間続けてきたゼロ金利政策を解除し、政策金利を0.25%引き上げました。その後の急激な利上げで、2022年10月の円相場は$1.00=151円台をつけました。32年振りの歴史的円安となりました。その時、日銀黒田総裁は、“利上げをしても効果無し”ということでゼロ金利を固守しました。それが大きな間違いであることは、日米両国の金利差拡大で円安に振れたことで理解できると思います。その間、円は国際的な投機筋に利用され、$1.00=160円台まで円安になり、2年5カ月もの間、日本国、企業及び国民は不必要な辛苦を経験せざるを得ませんでした。元日銀黒田総裁、財務大臣の方々には大いに反省してもらいたいと思います。
一方、米国式市場では景気悪化懸念によりダウ工業株30種平均は8月2日(金)、一時、前日比900ドル超下げ、連日の急落となりました。その影響で8月5日(月)日経平均株価は前週末比4451円安となりました。1987年10月20日の“ブラックマンデー”を上回る過去最大の下げ幅となりました。翌日、6日(火)のダウ工業株平均は、一時700ドル超上昇し、前日より294.39ドル(0.76%)高、3万8997.66ドルで終わりました。同日の日経平均も前日比3217円(10.2%)高い3万4675円で終えました。上昇率は歴代4位の上げ幅でした。現在の株式売買はプログラムの指示によって行われているため、ある数値が合うと一斉に売りになったり、買いになったりすると推測できます。今回は利益確定の売りが出て、また買い戻されたと言う事でしょうか?
忘れてほしくないのは日本という国は世界に異例な資産国家であるということです。
1)家計金融資産は2200兆円有り、現金・預金が1118兆円、全体の51%を占めています。
2)上場企業の内部留保、550兆円を越えています。
3)日本企業の海外金融資産は1500兆円超あります。
4)外貨準備高は約1兆2918億ドルあります。
円ドル為替レートはモデル計算、購買力平価、均衡為替レートでみても$1.00=110円前後が適正レートと言われていますので、$1.00=120円になっても不思議ではないと思っています。
米国コンテナ輸入は堅調な回復、欧州はEV競争で苦戦、中国は消費者の節約志向が続く
8月2日(火)、米国民主党でカマラ・ハリス米副大統領が大統領候補指名を得ることが決まりました。11月4日(月)、47代米国大統領に初めて女性が就任する可能性が出てきました。それもアジア系黒人女性大統領となります。期待したいと思います。
全米小売業界(NRF)が7月9日に米国主要港の小売関連の輸入コンテナ取扱量の最新予想を更新しました。
7月予想は、前年同月比15.5%増、221万TEU、前回予想から11万TEU上方修正。
8月は13.5%増、222万TEU、同5万TEU上方修正。
9月は3.5%増、210万TEU、同4万TEU上方修正。
10月は0.5%減、205万TEU、同4万TEU上方修正。
11月は3.5%増、196万TEUと予測しています。
米国向けのコンテナ荷動きは、今年に入ってから堅調に推移しています。小売関連の在庫水準が適正化し、再び積み増しの動きが出て、前年同月実績を上回っています。
ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)など欧州自動車大手5社の2024年1~6月期決算によると純利益はいずれも前年同期比でマイナスとなりました。欧州での電気自動車(EV)の需要低迷、中国EV車との価格競争、EVの研究開発費用増加が原因と言われています。フランス・パリで行われているオリンピック・パラリンピックが明るい材料となり景気が上向くことを期待したいと思います。
中国国家統計局が7月10日(水)発表した2024年1~6月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比0.1%上昇しました。エネルギー関連は上昇し、耐久財は下落、中国の食卓に欠かせない豚肉を含む肉類、野菜・果物の消費、自動車、バイク、スマートフォンも前年同期比下げています。消費者の節約志向が根強いとしています。中国の国内景気回復にはまだまだ時間がかかると思われます。
悪天候で船舶遅延、コンテナ運賃はピーク到達後も高水準維持か
Drewryの運賃指標
8月1日に公表した運賃表WCIは次の通りです。
コンテナ船運賃指標(WCI) 2024年8月1日 ※Drewryより参照 | |||
航路名 | ドル/FEU | 前週比 | 前年比 |
総合指数 | 5,736 | -1% | 226% |
上海/ロッテルダム | 8,200 | -1% | 406% |
上海/ロサンゼルス | 6,740 | -3% | 190% |
上海/ニューヨーク | 9,166 | -1% | 175% |
スポット運賃はピークに達しましたが、輸送の混乱が続けば、当面の間、運賃は高止まりすると予想しています。南アフリカの悪天候、中国・台湾を襲った台風が船舶の遅延、待機時間の長期化を発生させているとしています。一方、アジア主要港の港湾混雑は緩和してきているので運賃の安定化が期待できるとしています。
東西航路の9%が欠航予定、船舶過剰問題は解消
Drewryが発表したCancelled Sailings Trackerは次の通りです。
Week32(8月5日~11日)からWeek36(9月2日~8日)の間に東西航路(太平洋航路、大西洋航路、アジア/欧州・地中海航路)の往航全体で運航計画の9%を欠航する予定です。内訳は太平洋航路の東航が56%、アジア/欧州・地中海航路が15%、大西洋航路の西航が29%となっています。
船会社の2024年余剰船舶問題は喜望峰経由の迂回とハブ港における港湾混雑解消のための追加船舶投入により解消されたのが現状です。各船社とも2024年上半期(1~6月)決算は海上運賃高騰の結果、想定より上振れしています。但し、下半期(7~12月)は荷動きが落ち、運賃下落の可能性、地政学的な問題を含め不確実性があり、下期の市況次第であるとしています。
ONEの利益は想定外の大幅上振れ
ONEの新たな決算予想によると税引き後利益は、上半期(24年4~9月)は22億4500万ドル、従来予想の8億ドルを大きく上回りました。下半期(24年10月~25年3月)の税引き後利益予想も2億ドルから5億ドルへと上振れを見込んでいます。
2024年7月の新造コンテナ情報
7月の新造コンテナ価格は$2,250 per 20fです。先月から$50、2.2%の値下がりとなりました。新造コンテナ総数は851,618 TEU(Dry: 815,323 TEU, Reefer: 36,295 TEU)でした。先月からの変化は、総数+9.7%(Dry:+9.3%、Reefer:+20.7%)でした。新造コンテナ工場残は、896,988 TEU(Dry: 838,076 TEU, Reefer: 58,912 TEU)となりました。先月からの変化は、総数は+17.1%(Dry: +17.6%, Reefer: 10.4%)となりました。先月工場から出荷された本数は、総数720,947 TEU(Dry: 690,209 TEU, Reefer: 30,738 TEU)となりました。
リース会社の勝算:北米港湾の混乱で高まるコンテナ需要
コンテナメーカーは12月までの生産ラインは埋まっています。20fのコンテナ価格が$50下がりました。中国の鋼材価格が下がったのが原因です。多分リース会社はこの値下がりを利用して更に大口の発注を掛けているのではないかと思います。それは北米東岸港湾の労働協約が9月末で期限切れとなるなか、労働者側がかなり強硬な姿勢を見せているため、10月以降北米東岸港湾がストライキに入る可能性が高いと思われます。北米東岸港湾が使用できないとなると、北米西岸港湾に貨物が集中し、混雑・混乱で空コンテナを需要地の中国・アジアに戻すことができなくなるためです。
その結果、北米東岸港湾のストライキの状況次第では、船会社は当面、リースコンテナの返却をためらわざるを得ないと思います。そうするとリース会社は想像を超える98~99%と言う高いコンテナ稼働率を引き続き謳歌することになるでしょう。
社員主役の経営哲学:高層18階のオフィスから発信する未来
7月22日(月)から横浜駅東口からベイククォーターを通り約7分の横浜クリエーションスクウエア20階建て18階の新事務所に移転し業務を始めました。18階の半分、約100坪の床面積を占める広々とした空間と高層階からの眺めは疲れを癒やしてくれます。また、仕事の効率を高めてくれます。お近くにおいでの折には是非お立ち寄りいただきたいと思います。
非上場会社である我社は社員が主役であるように利益が出れば社員に還元し、社員に喜んでもらえる会社を目指していきたいと考えています。引き続きご支援・ご指導のほど宜しくお願い申し上げます。