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歴史的円安!日本経済を救うための提案
6月28日、$1.00=Yen 161台まで円が下落しました。1986年12月以来37年半ぶりの円安です。4月29日($1.00=Yen156.33)と5月2日($1.00=Yen153.63)、財務省は円買い・ドル売りで、計9.7兆円を投じましたが、円安を止めることは出来ませんでした。円が何処まで下がれば良いと考えているのでしょうか?
3月末時点の日本の家計の金融資産は前年度期比で、7.1%増加し、2199兆円あります。上場企業の内部留保は550兆円を超えています。7月5日現在、東京株式市場のグローバル企業が多い東証プライム市場の時価総額は1000兆円を超えています。2024年1月末の我が国の外貨準備高は約1兆2918億ドルです。日本企業の海外金融資産は昨年末で1500兆円を超えています。やはり、ドル為替の$1.00=Yen 161は異常です。
多くの人が行き過ぎた円安を認めています。鈴木俊一財務大臣が、“行きすぎた動きにはあらゆる手段を排除せず断固たる措置をとる!”と繰り返す言葉を聞くたびに虚しく響きます。自己責任を避け成り行きに任せる政府、日銀、財務省の無策に呆れてものが言えません。止める方法を知らないと言ったほうが良いのかもしれません。
a)米連邦準備理事会(FRB)に利下げの要請をする?
b)時限立法で円キャリー取引の一時停止を決議、少なくとも円安を食い止める?
c)“レパトリ減税”を導入する?
即ち、1500兆円超の海外金融資産を本国に送金する日本企業の法人税を減税すれば、政府、国は行き過ぎた円安から国民を守ることができます。
欧米政治動向と中国経済、今後の行方は?
米労働省が5日発表した6月の雇用統計によると、非農業部門の就業者は前月から20万6000人増加。失業率は4.1%で5月4.0%から上昇しました。雇用の減速感を受け、市場では9月の利下げ観測が強まっています。フランスでは7月7日の国民議会選挙で極右勢力が与党となる可能性が無くなり政治不安が後退しました。英国では4日の総選挙で労働党が6割を超える議席を獲得し14年ぶりに政権交代します。イランでは改革派新大統領が当選し、米欧との関係改善への外交政策転換に期待がかかっています。
一方、中国の4~6月の実質国内総生産(GDP)は前年同期比5.1%増となりました。中国政府も不動産不況による自国経済立て直しのため、EV自動車・ハイテク産業に対する補助金政策を実施し、安価な大量生産製品で輸出攻勢をかけていますが、欧米は経済安全保障上、追加関税で対抗し、今後の世界貿易発展の行方が怪しくなってきています。
今年のコンテナ荷動きは“Peak Season入りが例年より早い“と言われています。それは過去のコロナ禍の経験から、ストライキ・港湾混雑などでサプライチェーン障害が起こる前、あるいは追加関税が掛かる前に、欧米の輸入者が早めに輸入に動いたと言えます。
喜望峰経由の混乱続く!来年前半まで影響か
現在、欧州航路の喜望峰経由による輸送期間の長期化、欧州・北米各地での港湾労働者、トラック、鉄道のストライキに加え、天候不順、船社による基幹航路の抜港・欠便により世界の主要ハブ港が混雑し、トランシップコンテナが滞留してしまい、サプライチェーンの流れが滞っています。コロナ禍の再来となるのか?これによりコンテナ船のスペース不足、コンテナ不足で運賃高騰が引き起こされています。船会社も自社で新造コンテナを発注していますが、製造時期、製造場所、コンテナType/Sizeを考えると、コンテナリース会社の投機的新造コンテナは船会社にとって大きな支えとなっていることは事実です。
たとえ、米国大統領選挙で“もしトラ”が現実となり、2025年1月にスエズ運河の通峡が可能となり、欧州航路が正常に戻ったとしても、世界主要ハブ港の混乱は数カ月続くと考えられますので、来年前半までその影響は残ると思われます。
港湾混雑で運賃上昇!欠航率7%に
コンテナ船運賃指標(WCI) 2024年7月4日 ※Drewryより参照 | |||
航路名 | ドル/FEU | 前週比 | 前年比 |
総合指数 | 5,868 | 10% | 298% |
上海/ロッテルダム | 8,056 | 10% | 499% |
上海/ロサンゼルス | 7,472 | 12% | 356% |
上海/ニューヨーク | 9,158 | 17% | 254% |
Drewryはアジア主要港における港湾混雑により、今週末の運賃指標は劇的に上昇すると予想しています。
同社のCancelled Sailings Trackerによるとweek28(July 8~14)からweek31(Aug 5~11)までの間に、東西航路(太平洋航路、大西洋航路、アジア/欧州・地中海航路)の往航全体で51便の欠航が発表されています。欠航率は7%に相当します。内訳は、太平洋航路の東航が55%、アジア/欧州・地中海航路が25%、大西洋航路の西航が20%となっています。
世界最大級のコンテナリース会社誕生か?
6月中旬、コンテナリース業界で世界第二位の規模のTextainerが世界第五位のSeacoを買収する優先権を持って話を進めているというニュースが飛び込んできました。4.29 million TEUのTextainerが2.4 million TEUのSeacoを買収すると、その規模は6.7millon TEUとなり世界第一位の規模を誇るTritonの7 million TEUに迫ります。そうなるとTritonとTextainerの2社で市場の50%以上のシェアを占めることになりますので、最終的には各国の独占禁止法に抵触しないという前提となります。しかし、既に2015年にTriton(2.4 million TEU)とTAL(2.4 million TEU)との合併で4.8 million TEU規模のリース会社(Triton)が過去に認められていますので問題は無いと考えます。それはTriton 一社だけが7million TEUで突出しているより、もう一社、同規模の会社がある方が健全であると判断されるからです。Seacoの売値は$5 billion(=8,000億円)以上とのことです。
思い出しますが、2018年半ばSeacoの親会社であるHNA Groupが大きな負債に苦しんでいた時Seacoが売りに出されました。その時の買収先に最後まで残った会社が三井住友グループでした。その時の買収金額が約2000億円と聞いておりましたが、残念ながら彼らは買収を断念しました。
もし、その時、三井住友グループによる買収が成立していたなら、三菱HCキャピタル(2014年にBeacon(1.51 million TEU)、2021年にCAI(1.74 million TEU)を買収し、合わせて3.26 million TEUを運用)と共に日本の2大金融資本会社が世界のコンテナリース会社大手2社のOwnerとなっていたかもしれません。
2024年6月の新造コンテナ情報
6月の新造コンテナ価格は$2,300 per 20fです。先月から$50、2%の上昇となりました。新造コンテナ総数は776,016 TEU (Dry: 745,942 TEU, Reefer: 30,074 TEU)でした。先月からの変化は、総数+6.7%(Dry:+2.6%、Reefer:+4.5%)でした。新造コンテナ工場残は、766,317 TEU (Dry: 712,962 TEU, Reefer: 53,355 TEU)となりました。先月からの変化は、総数は▲1%(Dry: +19%, Reefer: ▲13%)となりました。
コンテナ価格は一服した感じがありますが、これから夏場に向かっての中国からの荷動き次第でまだ上昇する可能性はあります。Dryコンテナ製造本数は上期の半年で、300万TEUを超えています。この調子で注文が入ると、600万TEUを超える可能性があります。コロナ禍の2021年に6.6百万TEUを超えました。その年に匹敵する生産量になる可能性があります。過去10年間で2021年に続き第二番目に多い生産年となります。コンテナメーカーは現在、生産量拡大に対応すべく工場の生産ラインの拡大を図っています。
新事務所でお待ちしています!横浜駅近くのYCS18階へ移転
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