安倍元首相の無念の死、参院選、そして憲法改正へ
昨年10月に岸田内閣が発足しました。岸田文雄首相は実に運に恵まれた人だと思います。彼の決断の遅さから”ミスター検討中“と揶揄されていますが、その遅さが国民の信頼を勝ち得たのでしょうか?支持率は50%以上を保っています。その結果、今回の参議院選挙では自民党単独で過半数を獲得し、憲法改正に前向きな公明党、日本維新の会、国民民主党の4党を加えると、憲法改正の発議に必要な参議院全体の3分の2の議席を上回ります。一方、改憲を願っていた元首相の安倍晋三氏は7月8日の選挙応援中、凶弾に倒れました。世界中から哀悼の意が示される日本の政治家を我々は誇りに思います。歴代最長の8年8ヶ月の首相在任期間を誇った安倍氏もなしえなかった憲法改正に岸田首相は王手を掛けています。大政治家として日本の政治史に名前を残そうとしています。是非、安倍元首相の意志を継いで日本を自らの力で守る国にしてもらいたいと願っています。今回の参議院選挙の国民の意志表示は、ロシアのウクライナ侵攻がもたらした結果だと確信します。世界の動きを見ていると”平和憲法“がいかに時代遅れであるか?武力で他国を侵略し領土拡張をする時代錯誤の国がある以上、丸腰で自国を守ることはできません。
米経済は順調に回復、中国はロックダウンの後遺症か
米労働省が8日発表した6月の雇用統計によると非農業部門の就業者数は前月から37万2000人増加。市場予想の25万人増を大幅に上回りました。失業率は3.6%で、3月から横ばいです。平均時給は前月比で0.3%上昇。前年同月比では5.1%の高い伸びが続いています。米国経済はコロナ禍を克服し順調に回復しています。一方で、米連邦準備理事会(FRB)は高インフレを抑えるために金利引き締めを進めています。それが今後、個人消費や住宅建設に影響を与え経済活動を減速させる可能性も見逃せません。
6月末に上海ロックダウンが解除されて1か月になりますが、2か月間のロックダウンの後遺症のためか、中国側からの輸出が戻っていないようです。上海以外の都市でもゼロコロナ政策でロックダウンが施行されて経済再生の芽を摘んでいるようです。その結果、日本経済新聞は中国の2022年の国内総生産(GDP)の伸び率予想を4.1%と予測しています。中国政府の5.5%の予想よりかなり減ると見込んでいます。
過剰在庫と生産調整が景気減速につながる懸念
世界製造業は現在かなりの過剰在庫を抱えているようです。コロナウイルス禍の“巣ごもり需要”、“リベンジ需要”に対応するため、原材料の積み上げ、ロックダウンによる製品出荷の遅れが原因です。そこにインフレによる景気の減速の予兆を感じた企業が在庫調整のために生産調整を行なう可能性があり、それが更なる景気減速の要因を孕んでいることを指摘しなければなりません。
運賃は下落傾向、続く港湾混雑、北欧州では労働者確保が問題
7月1日付上海航運交易所のSCFI指標、7日に発表されたDrewry Maritime Researchによると太平洋航路、アジア/欧州航路におけるスポット運賃がそれぞれ前週に比べて小幅の運賃下落が続いています。特に北米東岸向けと北欧州向けで運賃下落が大きいです。その上、米国東岸主要港で港湾の混雑が続いています。ニューヨーク港でも悪化が進み、17隻が沖待ちし、着岸まで20日かかっています。サバンナ港では30隻超えのコンテナ船が滞船して着岸まで10~12日を要しています。北欧州はロシア制裁に伴う輸送需要減少に見舞われています。また、夏季休暇等による港湾労働者の確保問題が深刻となっています。ハンブルグ港のストの影響、一部地域ではCOVID-19の感染再拡大の影響も見逃せません。
アライアンスのシェアが下がる大きな要因
アライアンス各船社は中国・アジアからの輸出減の場合の過剰スペースによる運賃下落を避けるためにアライアンス枠外の臨時船でスペース調整をすることでスペース過剰・運賃下落に対応しています。アライアンスのシェアが、2021年4月に82.2%、2022年4月に67.7%と減ったのは、新興船会社の新規参入の影響もありますが、アライアンスの枠外での臨時船投入による影響が大きいと言われています。
ILWUが提案する不可解なサーチャージ
現在、ILWU/PMAは契約切れの7月1日以降も、日常業務をこなしながら交渉を継続しています。Shipping Guideによると、ILWUがLA/LB港の荷役自動化について、それにより引き起こされる港湾労働者の失業に起因する公的費用を相殺するために、海外へ返送される空コンテナに“Displaced worker impact fee”という名目のサーチャージを課すことを提案していると報じています。なんとも理解しがたい費用の提案であると思います。船会社にとってコンテナをRound Useで貨物を積んで運用できることが理想です。しかし、ほとんどの輸入地は片荷です。半分以上のコンテナを船会社はコンテナ需要地に空回送しているのが現実です。昔から復路のほとんどのコンテナは空気を運んでいると言われてきました。その空コンテナにどんな名目であろうともサーチャージを掛けることは納得できないと思います。しかし、ストによる北米港湾業務の混乱は避けなければなりません。
6月のコンテナ市況
6月のコンテナ新造価格は$2,800 per 20f で、5月と同じでした。昨年12月の価格、$3,550と比較してマイナス21%、$750 per 20f 減とこの半年で大幅に下がりました。6月の生産量は381,665TEUで、工場残は967,879TEUでした。
沖縄出張で感じたこと、中尾からの提案
7月某日、一泊二日で沖縄、那覇に出張してきました。朝8時台の飛行機は満席で沖縄への修学旅行の高校生徒と一緒に飛び立ちました。那覇空港でレンタカーの手続きを待つ50~60メートルの長蛇の列には驚きました。若いカップルがほとんどでその人気の程に、今さらながらビックリしました。台風一過で青空が広がり、気温が30℃で東京の35℃より低く、沖縄に避暑に出かけた気分でした。訪ねるお客様のところで冷たいミニペットボトルのお水やお茶が出されたのが沖縄流おもてなしの好印象でした。翌朝の10時台の飛行機で帰ってきましたが、これも満席で、沖縄は燃えているというのが私の印象でした。
今年は1972年5月15日に沖縄が日本に返還されて節目の50年に当たります。沖縄に日本の米軍基地の70%以上が存在しています。我々は沖縄の人々に感謝せざるを得ません。地理的に言って沖縄県は世界に誇る美しい自然サンゴ礁の海を持つ観光地です。また中国・南アジアのアクセスに良い場所にあります。台湾は本州より近い地の利があります。沖縄を経済特区に指定し、関税免除、所得税優遇措置等で多くの産業を誘致し、未来のカーボンゼロの海洋都市を目指したらどうでしょうか?基地問題に苦しむ沖縄の人々に少しでも喜んでもらえるのではないでしょうか?