今年、2021年も皆様に大変お世話になりました。私にとり今年はいろいろな挑戦の年となりました。先ず、2月には、TV東京のWorld Business Satelliteのインタビューを受け、テレビに顔を出すこととなりました。4月からは、恥ずかしながら、YouTubeへの挑戦も始めました。一方、コロナ太り解消のために食事制限と同時に、栄養管理の愛妻(?)弁当を強要され、お陰様で、一時は75Kg有った体重を今は70Kg台に戻すことが来ました。
一方、世界はまだCOVID-19との戦いを終えておりません。南アで確認されたオミクロン株は、世界保健機構(WHO)が警戒レベルの高い変異株と指定してから1週間で、欧州、米国、カナダ、インド、オーストラリア、韓国、日本等30ヶ国以上の国に急速に感染拡大しています。オミクロン株が今後どのようにパンデミックを起こすのか現在不明です。せっかく経済も回りだしているところに、新たな感染力の強いオミクロン株の出現により、世界のサプライチェーンがどのような影響をうけるのか心配のタネが尽きません。
米労働省が3日発表した11月の雇用統計によると、非農業部門の就業者の増加数は21万人で、10月の54万6000人を下回りました。しかし失業率は前月比0.4ポイント改善して、4.2%となり、労働市場が順調に回復して、求人需要が追いつかない状況が現れています。米国経済は引き続き力強く復活して来ています。但し、新型コロナウイルスの変異株、“オミクロン株”のパンデミック如何ではそれもどうなるか不明です。
北米港湾の混雑も解消に向かっていると言われていますが、それは滞船の集計方法を変えたためで、ロスアンゼルス・ロングビーチ港では2日現在、滞船隻数は過去最高を更新し、沿岸から40マイル以内の海域に40隻、150マイル内に56隻、計96隻が沖待ちの状態であると言われています。減速航行で到着を調整している船をいれると100隻に迫ると言われています。米国港湾事情の改善にはまだまだ時間がかかるようです。8日現在、ロスアンゼルス・ロングビーチ港の滞留コンテナに対する課徴金は13日に4度目の延期となりました。荷主に一方的にペナルティーを課することで問題が解決できるのか甚だ疑問です。
Shipping GuideがDrewry Maritime Research(英国)を引用しています。彼らが2日に発表した世界コンテナ運賃指数(WCI)の総合指数は、$9,050.77 per FEUで、前週から1.5%下落、前年同月期を196%上回っています。年初からの平均は$7,447 per FEU。過去5年間の平均$2,709 per FEUを$4,738 per FEU上回っています。航路別の運賃指数は、上海ー>NYCが前週比5%($648)下落し$12,582 per FEU, 上海ー>LAが 4%($387)下落し、$9,698 per FEUと落ち込んでいます。上海ー>ロッテルダムが$13,500 per FEU, 上海ー>ジェノアが$12,480 per FEUと前週と比較して横ばいです。
海上運賃も天井を打っているようです。現状の海上運賃高値は中国2月の旧正月で収まると言う意見もあります。一方、来年前半までかかると予測するか、あるいは2022年一杯継続すると言う見方もあります。それは来年7月1日に米国西岸港湾労使協約が切れるからです。そこで先月中旬、使用者団体PMA(太平洋海事協会)はILWU(国際港湾倉庫労働組合)に対して1年延長を申し入れましたが、組合側から拒否されました。前回は米政府の仲介で、2019年7月1日失効予定だった協定を3年間延長することで合意し、2022年7月1日となった経緯が有ります。PMAとの話し合い如何ではILWUのスト突入の可能性が否定できません。
11月の新造価格は$3,750 per 20fで、10月の新造価格、$3,850 per D2より$100、2.7%値下がりしています。11月の新造コンテナ生産個数は557,399 TEU (Dry: 544,645 TEU, Reefer: 12,754 TEU)。10月のDry生産個数に限定して比較すると、約9%、55,779 TEU減っています。11月末の新造コンテナ工場残は759,448 TEU (Dry: 701,048 TEU, Reefer: 58,400 TEU)。8月の新造コンテナ在庫数と比較すると、336,228 TEU増加しています。船会社がリース会社の新造コンテナに依存する度合いが減っていると言えます。恐らく船会社は、現在運用しているコンテの持ち帰りと一部長期リース残の消化で、不足分を賄っているのでしょう。その結果コンテナ新造価格についても調整機能が働きだしていると考えられます。
中国で最低賃金の引き上げの動きが出ています。中央政府は地方政府に最低賃金を2~3年に一度見直すように要求しています。2021年に入り20の省・直轄市・自治区が“共同富裕”の実現で最低賃金引き上げを実施しました。中国の人件費はタイ、マレーシア、ベトナムなど東南アジアの国の賃金を上回っています。その結果、中国から東南アジアに製造拠点を移す動きがあります。人件費の上昇が続けば中国外への工場移転が速まることが予想されます。また、中国企業、海航集団が2021年1月に11兆円以上の負債を抱えて破産した話は旧聞に属しますが、今、中国の名目GDPの約2%に当たる33兆円以上の負債を抱えて不動産大手の恒大集団が経営危機に陥っています。中国は地方国営企業のデフォルト問題、中国政府の民間IT企業締め付け等、多くの国内問題を抱えています。来年の旧正月前の輸出ラッシュが出てくることが考えられますが、中国元が今年後半からドルに対して上がっていることも輸出企業にとって大きな懸念材料です。そのために中国出し海上運賃も緩やかに解消されていくと考えられます。
12月3日の日経新聞に“ENEOS, 廃プラを原油に”の記事が載っていました。ENEOSと三菱ケミカルが共同で廃プラを原油に近い油に戻す設備を2023年度にも稼働させます。年間2万トンの処理を目指すとあります。ケミカルリサイクルで今まで分別出来ずに燃やすか埋めていた廃プラの再利用が目的です。リサイクルして再生されたプラスチックは、廃プラとして、何度でも再生できるそうです。石油の使用量を削減できる上、焼却処分に比べて二酸化炭素排出量を5割以上削減することが期待できるそうです。ケミカルリサイクルは欧州企業が先行していて、日本企業は彼等から技術提供を受けて生産しているそうです。脱炭素を加速するためにも自国で出た廃プラは自国で処理し活用するために、日本企業による技術革新で新たな商機につなげていって欲しいと祈っています。政府も目先の利益にとらわれず、30年、50年先の日本の利益を考えてこのような企業に対して民間支援を惜しみなく行なってもらいたいと思っています。
世界が脱炭素、限られた資源の有効利用に向かっている中、資源輸入大国として日本政府は我々の血税を無駄にできないはずです。にもかかわらず、2020年に新型コロナウイルス対策で安倍首相が配布を決定したアベノマスクがまだ8000万枚残っており、保管費用が6億円にも達しているとのことです。また、安倍政権は持続給付金の業務委託を“サービスデザイン推進協議会”に769億円で委託しました。一方、彼らは749億円で電通に丸投げしました。その民間委託会社、“サービスデザイン推進協議会”は、2016年に、電通、人材派遣会社パソナなどによって設立された会社です。岸田政権もコロナウイルス対策費として18歳以下へ10万円給付しますが、年内に5万円を現金で銀行振り込み、来春に5万円のクーポンを配布する方針です。その事務費経費は現金給付に280億円、クーポン配布に967億円掛かるとの試算が有ります。これが岸田政権の宣伝している“新しい資本主義”なのでしょうか?無駄を無くして実質効果を上げるのが資本主義の本質ではないでしょうか?これではいくらお金があっても足りなくなりますし、日本の若者の理解を得て、政治に関心を向けさせることは難しいのではないでしょうか?