新型コロナウイルス蔓延のために一年延期され7月23日(金)に開幕するオリンピック・パラリンピックだが、7月8日(木)に東京都に4度目の緊急事態宣言が出されることが決まり、7月12日(月)に実施された。異常な事態の中での開幕となる。インド株デルタが勢いを増しているので東京及び近郊で開催される競技が無観客で行われる。中止という最悪の状態は避けられたが、欧米がワクチン接種率を上げ集団免疫率の獲得で経済復活を果たしている現状をみると、何故、日本政府がワクチン接種をできるだけ早く優先し、集団免疫率の獲得に専念出来なかったのか返す返すも残念である。4年に1度のオリ・パラを開催するという大役を果たすためにも、それも1年遅らせての開催で時間的猶予があったはずである。欧米で集団免疫率が高まり急速に経済活動が緩和され日常業務が取り戻されつつある現状を見ると、新型コロナウイルスのパンデミックを防ぐために集団免疫率を高めることは必須である。そうすることにより国外からの観光客の来日、オリ・パラ競技観客も従来通り問題なく受けいれられたはずである。ましてや飲食店での酒類提供の自粛要請、営業時間制限など必要なかったと思う。日本の経済活動復活を早め、日本のおもてなしで全国民を上げてオリ・パラの国際的行事を安心して開催することが出来たと思う。集団免疫率を獲得することは変種ウイルス感染予防にも効力を発揮する。オリ・パラ後のインド株デルタ対策のためにも集団免疫率を一刻も早く高める必要がある。
米労働省が2日発表した6月の雇用統計よると、非農業部門の就業者数は85万人増加した。失業率は5.9%。前月より0.1%上昇。新型コロナウイルス前の水準を680万人下回っている。熟練工の確保の難しさに加え、コロナウイルス感染リスクの高い、低賃金の仕事は敬遠されている。一方、手厚い給付が労働意欲を無くさせているのも人手不足に影響を与えている。
全米小売業協会(NRF)によると、消費意欲が旺盛で、オンラインショッピングや即日配送の増加が輸入需要を押し上げている。夏場に向かい年末商戦の在庫積み上げの時期に当たり、旺盛な輸入がしばらくは続くと見ている。
ユーロ圏もワクチン接種普及のおかげで経済回復の勢いが増している。英HISマークイットが23日、6月のユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)が速報値で59.2と金融危機前の2006年6月ぶりの高水準となったことを伝えている。製造業は前月と同じ63.1で高い水準を維持、サービス業も58と前月より2.8ポイント上昇した。2四半期連続マイナス成長だったが、4~6月に目覚ましい拡大となり、7~9月はさらに強い成長になる見通しを立てている。
上海航運交易所(SSE)が発表した上海出しスポット運賃指数(SCFI)の7月2日総合指数は前週比3.2%上昇し、3905.1と8週連続でアップした。欧州航路のSCFIは前週比4.9%上昇し2週連続アップ、地中海航路は2.2%上昇し$6,655 per TEUと14週連続でアップした。北米航路のSCFIは北米西岸航路が前週比4.8%上昇し$4,944 per FEU, 北米東岸航路は3.5%上昇し$9,244 per FEUと13週連続で高値を更新、初めて$9,000 per FEUを突破した。
邦船3社(NYK, MOL, K Line)定期船統合会社、Ocean Network Express(ONE)は6月21日に3社に期末配当として1億9,500万ドル(約210億円)を分配した。2021年3月期の中間配当として2月末に既に約5億ドルを分配しているので合計約7億ドルの分配金となる。親会社の3社とも、2022年3月期第1四半期(21年4-6月)の単体決算に、今回の配当金を営業外収益として計上する見込みである。親孝行のONEである。ONEの2020年通期業績は売上高が前年同期比21.3%増の143億9,700万ドル(約1兆5,733億円)、純利益が約33倍の34億8,400万ドル(約3,807億円)となった。初年度の18年度が5億8,600万ドルの赤字、19年度が1億500万ドルの黒字、20年度が34億ドル超の大幅黒字となった。
日本経済新聞が伝えている。英国金融情報会社、リフィニチィブが6月17日までの今年のデータを集計した結果、世界の今年1~6月のM&A件数は2万5,069件となり、3年ぶりの増加、実行額は2.6兆ドル(約290兆円)、前年同期比の2.3倍に達した。特に米国が前年同期比の3.8倍で牽引し、実行額は1兆2,929億ドルに達した。
久しぶりのコンテナリース会社の買収劇が起こった。6月18日に世界第6位Beacon Intermodal Leasing, LLCの親会社である三菱HCキャピタル株式会社が世界第5位の米国コンテナリース会社、CAI International Incを約$1.18 billion(約1,220億円)で買収したと発表した。三菱HCキャピタルは今年4月に三菱UFJリースと日立キャピタルの経営統合により発足した。三菱UFJリースは2014年11月に米国Beaconを買収し海上コンテナリース事業に進出した。Beaconは6年間で100万TEU規模に急速に拡大した。しかしながら100万TEUの規模は必要であるが中途半端な規模であり、早急にさらなる規模拡大が望まれていた。一方、CAIはNYC株式市場に上場しているが、2020年前半のCOVID-19世界的蔓延でコンテナリース業の業績悪化に直面し、収益維持のため2020年8月にロジステック事業、12月には鉄道貨車リースを売却し、なおかつ事業の適正化を図っていた。この買収劇は両者の利害が一致したものと考える。
CAIは32年の歴史を持っているコンテナリース会社で、ITEL出身の小川弘光氏が1989年8月に創業し、NYC株式市場に上場を果たした日本人初のOwnerコンテナリース会社である。そのCAIを日本の銀行が買収した訳です。CAIは人材の宝庫である。親会社である三菱HCキャピタルがこの両リース会社をどのようにまとめて、何時300万TEU規模のコンテナリース会社としてスタートさせるのか注目される。日本金融資本が入った世界的運用規模2位グループのコンテナリース会社にエールを送りたい。
6月末の新造コンテナ価格は$4,000 per 20f。ついに$4,000 per 20fの大台に乗った。初めての事である。6月の生産台数は681,017TEU (Dry:634,076 TEU, Reefer: 46,941 TEU)。6月末の工場在庫数は442,744 TEU (Dry: 342,710 TEU, Reefer: 100,034 TEU)。今の強い需要からしてコンテナ製造価格が下がる理由が見当たらない。