世界の自動車販売に回復の兆しが見え始めた。中国の5月販売台数は213万6000台、2ヵ月連続で前年同月を上回る見通し。中国政府は新車補助金を導入している。米国の5月の新車販売台数は前年同月比30.1%減の111万台。減少幅は4月の46.6%減から改善し、3ヵ月ぶりに100万台を回復。欧州はドイツの5月の販売台数が前年同月比49.5%減、16万8148台。減少幅は4月の61.1%減から改善。英国の5月の前年同月比売上は89%減の2万247台、4月の97.3%から改善。
一方、2020年の世界の自動車工場の年間稼働率は最低の49%まで落ち込む見通しである。2010年台を通して世界の自動車工場の稼働率は約70%で推移していた。新型コロナウイルス感染拡大で3月中旬以降自動車の生産調整が中国を始め欧州・北米に拡大した。減産規模は通常生産の約80%に相当する500万台に達した。
欧州の2020年第1四半期の乗用車の新規登録数は前年同期比で25.6%減少したが、2020年1月の電気自動車の新規登録台数は倍増。欧州代替燃料観測機関(EAFO)によると電気自動車が新規登録台数に対して占める割合はまだ4%。しかし2020年第1四半期には電気自動車の新規登録台数の上昇率は100%を超えると指摘している。
米労働省の5日発表の5月雇用統計は、失業率13.3%。4月の失業率14.7%。1.4%の改善である。市場は失業率を20%以上と予想していたので、経済活動の再開が進んでいると理解できる。非農業部門の就業者数は前月から250万人の増加。市場は就業者数を逆に約800万人減少すると予測していた。いずれにしても現状は予想より早く改善している。失業保険の給付数は4月のピーク時、2491万人。5月最後の週には2148万人と343万人減少。トランプ政権は企業に対して雇用維持を条件に総額6600億ドル資金供給をしている。その資金供給は従業員給与の肩代わりをする企業の再雇用にも適用するので職場早期復帰を前提とした一時解雇の早期復帰を促したものと考えられる。失業者の中の一時解雇による失業者は4月が80%、5月70%が該当する。
米エネルギー情報局(EIA)は6月1日のレギュラーガソリンの全米平均小売価格は1ガロン(約3.8リットル)$1.97, 4月下旬の4年2ヵ月ぶりの安値から11%上昇。5月20日までに全50州で経済活動再開、自動車移動の増加、景気底入れ期待の広がり。ガソリン最大消費国の米国の需要回復は原油相場の上昇要因となりうる。自動車産業の裾野の広さから考えると世界の経済回復は思いのほか早いのではいか?また、我々が考えている以上に人間の生命力・生活力はたくましい?
トヨタ自動車は6月6日、中国大手自動車5社と燃料電池を開発する合弁会社を設立しトヨタが開発した燃料電池車(FCV)システムを2022年に中国大手自動車に供給すると発表した。一方、独フォルクスワーゲンは中国EV合弁の親会社に50%出資する5月29日に発表した。中国政府は中国での販売台数一位の独フォルクスワーゲンで電気自動車(EV)の技術と二位のトヨタの燃料電池車(FCV)で中国国有自動車と提携させて競わせその技術を中国企業に取得させ次世代自動車のリーダーの地位を目指す。
世界経済が減速する中、中国政府主導のインフラ投資も活発。4月の粗鋼生産量も前年並みを維持。中国は海上貿易量の3分の2に当たる年10億トンの鉄鉱石を輸入している。活発な粗鋼生産に応じて4月の輸入量は前年同月比約2割増。シンガポール・タイの輸出が堅調を維持している。シンガポールの4月輸出額(石油を除く)は前年同月比で9.7%増。3ヵ月連続のプラス。牽引したのは医薬品で前月比、2.7倍増。特に日本向けが9.6倍、欧州連合(EU)向けは5.7倍と先進国・地域への輸出は記録的な伸びとなった。食料品の輸出も米国向けが3.2倍となり、全体でも66%増えた。タイも医薬品・食料の増加が目立った。4月は主力の輸出品である米と果物の輸出がそれぞれ23%、3%増えたほか、魚や小麦、資料などの輸出が軒並み前年度比でプラスとなった。医療器具と医薬品の輸出も9~13%伸び、全体の輸出額(2.1%増)を押し上げた。米国・中国の2大経済大国がゆっくりだが動き出すことにより周りの国の経済を活性化させ世界経済が回復していくシナリオが動き出している。
5月末の中国新造価格は$2,000 per 20F。新造コンテナの工場在庫は1,059,957 TEU (Dry: 1,013,310 TEU, Reefer: 46,647 TEU)。前月から$50 per 20F、2.4% downである。大手コンテナリース会社の稼働率は、95~96%と高止まりしている。しかしサプライチェーンの再構築修復の遅れはコンテナの稼働率の低下に作用する。その結果、新造コンテナに対する投資意欲減退。船会社の自社コンテナ所有化傾向はリース機会減少をもたらす。デポ在庫の増加。リース会社競争激化。大手リース会社はコスト増加・収益率の低下で悪のスパイラルに陥る可能性が出てくる。そうなると大手リース会社は投資資金的の確保が難しくなることが予想される。
欧米人が日本に来た時に日本人がマスクをしていることに奇異に感じ“何故マスクを付けているのか?”と良く質問を受けた。これからは欧米に行ってもマスクをつける人が出てくるだろうから、この質問を受けることはもう無いと思う。いろいろな色、形のマスクを見るとこれもファッショになっていくのかもしれない。一方、日本はせっかく欧米の学校の9月授業開始に合わせられる良い機会を逃すことになってしまった。それは日本の学校の始業は4月から始まるのが新型コロナウイルスのために授業開始ができない。このまま5月、6月と授業開始が遅れることになると今年入学の学童の学力低下を招くことになる。それを避けるために時期を遅らせ、欧米並に9月開始の話が出ていたが、5月中旬に緊急事態宣言の解除が行われ立ち消えになってしまった。
何事も変わるためには痛みを伴うが、積極的に取り組み自分を変える、あるいはシステムを変えるということは時には必要であると思う。そこに新たなエネルギーが出てくる。自分の好き嫌いにかかわらず、New Normalは新しい時代と共に大きなうねりとなって我々を飲み込んでいく。であるならそれを先取りし、自分のエネルギーに変えていくことが自分の人生を面白くするに違いない。勿論、社会も進歩する。その勇気を持って挑戦していきたいと考えている。