昨年12月に中国武漢市で報告された新型コロナウイルス肺炎が中国全土に拡大している。中国での死者数は2月11日時点、1000人を超える状況である。春節の1ヶ月間で30億人の移動が予想される。中国政府は1月23日に感染拡大防止の為、武漢市を閉鎖した。武漢市は中国の重要な工場基地で、鉄鋼業、自動車業、ハイテック企業等があり、ホンダ、日産自動車も工場がある。今年の旧正月は1月24日から30日の7日間。拡大を防ぐため、政府は連休を2月10日まで延長した。1月27日に中国政府は海外への個人、団体旅行を禁止。2018年の中国人海外旅行者数は延べ1億5000万人。世界の観光業界に与える影響は甚大である。2018年は1200億ドルを消費、一人平均支出額は約800ドル。19年の訪日客数3188万人の内、中国人が第一位で3割、959万人を占める。
現在、中国27市が住民の移動制限と道路封鎖を実施している。操業再開で1.6億人の労働者が職場に戻ることが予想され、感染者拡大を防ぐために2月10日以降も操業を見合わせるところが多い。 国内旅客輸送は過去1ヶ月で前年同月比35%減となっている。部品点数が多い自動車工場の多くは本格的稼働には時間がかかり、部品のサプライチェーンの混乱による被害は甚大である。日本は中国からの自動車部品輸入は輸入全体の3割、2019年は30億ドルを占める。GDP世界第2位、世界の工場である中国から人、物の動きの変調が世界に大きな影響を与えようとしている。2002年11月中国広東省で広がったSARSは8ヶ月後にWHOが終息宣言を出した。7月、8月にそれぞれ始まる東京オリンピック・パラリンピックは無事開催できるのか?
世界的な調査会社によると休日延長したことで、今年第一四半期で中国港は6百万TEUの輸出量を逸し、中国主要港は前年比20%の落ち込みとなった。 各船会社のAllianceも春節を見込んで減便で運行していたが、今後さらなる減便を見込まざるを得ない状況になると思われる。2019年、船会社の環境は世界経済の減速、米中貿易摩擦による生産拠点再編、中国から北米向け荷動きの減少をASEANが代替地として補い、荷動きは顕著であった。海上運賃は、過剰船舶のため弱含みであったが硫黄酸化物(Sox)の改修工事による稼働船舶減少が寄与して一進一退であった。 それが2020年は新型コロナウイルス肺炎で人の動きの減少、サプライチェーンのおける最適代替地からの部品輸出で物の流れが大きく変わることが予想される。その意味で2020年は船会社にとっても大きな試練の年になる。
米労働省が7日に発表した1月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比22万5千人増加。市場予想(16万人増)、前月(14万7千人増)を上回り、雇用状況は好調を維持した。1月の失業率、3.6%で前月より0.1%悪化、しかし50年ぶりの低水準にある。
米国人口3億3千万人、EU圏人口4億5千万人を考えると、それを養うために必要な生活物資の動きは見過ごすことはできない。また、世界の人口、2018年現在、76億人。その物流の動きは半端ではない。
1月末新造価格は$1850 per 20f。中国の工場在庫は、952,651TEU (Dry: 899,241TEU, Reefer: 53,410TEU)。
我々のPartnerであるKukdong MESのAnnual Meetingに出席するために1月15日(水)朝、韓国の金浦空港に向けてStaff 6名と羽田を発った。久しぶりの韓国である。それまでは中国の上海でこの時期開催されていた。韓国は7年振りか?テニスでアキレス腱を切断したにもかかわらずAnnual Meetingに出席した以来である。その時、航空会社がエコノミー席をビジネス席にしてくれた。おまけにもう一人参加したStaffも付き添いという事で小生の隣のビジネス席にしてくれた。航空会社に感謝したのを思い出す。
金浦空港はかなり整備され施設も大きくなり、7年前工事中だった空港は美しく生まれ変わっていた。今年のMeetingの会場は、空港から車で15分の漢江川の近くのヨット係留地にあるMarina-bay Hotelである。なかなか瀟洒なリゾートホテルで、かなり多くの韓国の裕福な家族が泊まっていた。朝食時の遅い時間は多くの子供たちで賑わっていた。
韓国は今不動産バブルの様相を呈していて、Kukdong MESもクルーザ・ビジネスのために数年前に購入した土地、その上に建てたクルーザ展示ビルを既に売却してさらに値上がりしそうな土地に投資したとのことである。
翌日からの2日間のMeetingは総勢60名以上が参加し、朝8時50分から夕方6時までびっしりと分刻みのスケジュールで世界各地の事務所のStaff, 韓国人、中国人、ウルムチ人、ロシア人、インド人、アフリカ人等々の営業報告。いつ参加しても彼らの若さ、真面目さ、エネルギー、挑戦意欲には感心させられる。我社6名のStaffも影響を受けてくれただろうか?夕食は全員一緒に2日間、韓国料理を堪能し交流を深めた。