中国は、10月1日から8日までの8連休の国慶節が終わり、10月9日(月)からコンテナ工場が稼働し始めた。その間コンテナ生産が休止されていたためこれから受注残、追加生産に拍車がかかる。それはまた今後のコンテナ需要を占う指標にもなる。現在、中国全土のコンテナ工場の新造コンテナの在庫は412,000TEU。コンテナ価格は、$2,200~2400 per 20fと聞いている。ある大手のリース会社は、今年50万TEU超えの発注をしている。一年でリース会社、1社が50万TEU超えを発注することは過去に例がない。その理由は幾つか考えられる。一つは、鉄の値段が上がりコンテナ価格が上がるのを見越している。二つは、投資ファンド資金を利用し、その投資に応えるために、規模の拡大を図り成長維持を図る必要がある。他社大手リース会社が韓進海運倒産、自社都合で投資をためらっている時に、コンテナの投機的大量発注で現状の底堅い、または、予測不能な突発的コンテナ需要にこたえることで優位に立つことを狙っている。勿論、それだけが理由ではない。その裏には冷静に世界経済の動きを見極めた結果であると考える。
船会社も例外ではない、2015年後半から止まっていた2万2000TEU型の超大型コンテナ船の新造船発注が再開された。特に欧州船社は積極的である。9月前半、CMA-CGMが2万2000TEU型船9隻を発注、9月後半、MSCが2万2000TEU型船11隻を発注。いずれも2019年から20年にかけての引き渡しである。世界経済の拡大を見越した発注か?引き続き欧州船社に目が離せない。
経済協力開発機構(OECD)は2017年の主要国(45カ国)全部がプラス成長となると予測している。それはリーマンショックの年、2008年以来10年振りのことである。引き続き米国、中国が世界経済の牽引役を果たす。3年振りのプラス成長となったギリシャを始めイタリア、スペインの南欧経済の復調。欧州の回復は鮮明である。新興国、ロシア、ブラジルの経済も立ち直りを見せている。一方、OECDは2017年の世界経済成長率を3.5%と見込んでいる。設備投資は加盟国全体で前年比3.2%増、貿易は4.4%増で経済成長率を上回る。世界経済に、過去10年間の低迷時期を脱する光明が出てきているのか?
1970年代の日本の家電メーカーは世界に敵なしであった。1980年代、日本の半導体メーカーは世界一を誇っていた。1985年9月のプラザ合意で、円高となり、円ドル為替は、240円台から1988年には半分の120円台まで上がった。その結果、製造業の海外生産比率は、1985年3%であったものが、2009年には18%まで高まった。その過程で優秀な技術者が海外メーカーへの移動、先端技術の海外流出へと繋がっていった。家電大手・ITメーカーはそのことに対して鷹揚で、過去の成功体験から抜け出せず、製品開発も現地のマーケッティングを怠り、スマホに象徴されるように、規制に守られ、使い切れない複雑な機能を追求した結果、製品のガラパゴス化を招き世界の市場から取り残された。その現実を日本の大手企業は直視すべきである。
一方、日本一流企業の不祥事が続いている。新聞がトップニュースで取り上げたものをいくつかピックアップすると。
2011年、オリンパス粉飾決算
2014年、タカタ・エアバックの不具合
2015年、東洋ゴム工業の免震データー偽装、旭化成の子会社の杭打ち工事改ざん、東芝の水増し会計
2016年、三菱自動車の2度のリコール隠し、燃費データ改ざん、スズキ自動車の 燃費データ不正測定
2017年、日産自動車無資格者による完成検査、書類偽装、 神戸製鋼所のアルミ製部材の性能データ改ざん
日本の一流企業、全てがそうではないが、閉鎖的経営体制、自己満足、自己過信、自己中心、排他主義、古い組織体質、縦割社会等々上げればきりがないが、不祥事を起こした企業は、長い社歴の中で、そうした問題を組織に抱え自分の立ち位置を見失っているのではないか?日本企業が世界のグローバル企業と厳しい競争で生き残っていくためには、上下の指示系統は、欧米系の呼称で言えば、President, Vice President, Director、担当者の4つがあれば良い。少数精鋭主義でそれなりの権限を能力ある社員に任せる。また、企業が大きく成ればなるほど、組織の横の風通しを良くする必要がある。そうすることにより、より情報の共有化が図れ、自分の立ち位置が理解できる。日本企業にとつて、過去の成功体験を捨て、古いしがらみを脱ぎ捨て、横風の通しを良くする組織を作り上げることは、グローバル企業と戦う上で必須であると考える。