コンテナリース需要はこれから夏場に向かって強くなる。Shipping Guideは6月のアジアからの北米向けコンテナ荷動きが前年同月比3.7増、128万7507TEU、1-6月累計、前年同期比4.8%増、731万7507TEUと単月、累計とも過去最高を記録したと米国調査会社のデータを紹介している。その上、米国労働省の6月の雇用統計は、雇用者数が前月比、22万2000人増。また、失業率は4.4%で記録的な低水準を維持している。今年の中国・アジアからの米国向けの荷動きは順調であろう。そのコンテナ需要は、9月をピークに徐々に緩やかに11月頃まで下降曲線を示す。しかし、そのカーブは2000年以降、その強弱の差が縮小して来ている。その大きな要因は、トヨタ自動車のJust-In-Time生産方式の世界的普及が大きいと考える。その方式がいろいろな関連産業に影響を及ぼし、また他産業にその方式が受け入れられ、世界の物流を変えてきた。その結果、物流は、大量、一度に動く傾向が見直され、少量、多頻度に年間を通して安定的に動く物流が評価されたことは大きい。
勿論、1985年9月のプラザ合意以降、円高に悩む日本の産業が、コスト高を解消するために、安い人件費、良い品質を求めて分業体制、生産設備の海外移管で、その活路を見出そうとした日本を始め、世界企業が経済構造に与えた変化も見逃せない。一方、アジア各国の自国企業の成長は目覚ましく、優秀な人材が豊富な韓国、シンガポール、香港、タイの企業は目を見張るものがある。そして特に、2000年以降の中国の成長は、世界の工場としての地位を確立した。それに呼応するように、船会社、リース会社は年間を通して新造コンテナの発注ができるようになり、中国のコンテナメーカーの巨大化を後押しした。現在全世界で使用されているISOコンテナの数は3500~4000万TEUと言われている。その総数は今後、減ることはなく、ますます使用本数は増えてくることは間違いない。コンテナ産業の伸びは右肩上がりで推移する。
コンテナの寿命が10~14年と言われており、長く使用すると修理代がかさみ、ある一定の期間で新造コンテナとの代替が船会社にとり、荷主対策としても必要である。その新造コンテナの供給をしているのが、コンテナリース会社である。その観点からして、リース会社は船会社にとり、なくてはならない存在になっている。現在、ほとんどの大手コンテナリース会社の稼働率が95%を超えていると言われている。何とか資金調達が出来ているところは積極的に新造コンテナの投機的発注をしている。コンテナリース会社の収益率が下がって来ているため大手リース会社でさえも資金調達コストの上昇は否めない。現状の中国工場の新造コンテナ在庫数は、41万TEU台で、新造コンテナ価格は、$2,200 per 20fである。
邦船3社のコンテナ船統合会社、Ocean Network Expressの7月1日の設立が見送られ、7日にやっと設立された。6月21日の南アフリカ政府による合併反対以外、設立に必要なすべての国・地域の承認手続きは終わった。来年4月には、資本金3,000億円(郵船38%、商船三井31%、川崎汽船31%の出資比率)、コンテナ船運航規模は約140万TEU、世界シェア7%で世界6番目の規模の船会社がスタートする。最初が肝心である。是非、新会社、Ocean Network Express社に、Thermo King社のMagnum PlusをReeferコンテナの一角に加えてほしいと願っている。既にKlineさんが100本近く採用しているのでその下地はできていると思う。同じアライアンスであるHapag LloydとYang Mingが何千と言う本数のMagnum Plusを使用している。他の大手船会社も既に積極的にMagnaum Plusのフリートを増やしている。
R452aがR404aの代替冷媒で相性がよく、混ぜ合わせて使用しても問題はない。冷凍能力はR452aもR404aと同じくマイナス40℃冷やす能力がある。R134a unitはマイナス30℃が精いっぱいである。また、R404aはCop21の規制の適応外であるため、R404aをR452aに直ぐに入れ替える必要は無い。R452aはトラック部門で使用が増え、製造コストは下がっている。
一方、Magnum Plusは構造上シンプルで頑丈にできているため修理費用が少ない。アルミ製コンプレッサーは錆に強く長期使用に耐え、R404aのガス充填回数は少ない。これはリーファーコンテナ修理業者のお墨付きである。
<Magnum Plusの他社Reefer Unit製造会社に対する優位性>
1)Highest Cooling Capacity:冷凍能力の高さは、外気温の高い地域の作業に適している。10年物のBoxを6時間でマイナス40℃まで冷やす能力がある。
2)Widest Operation(+30℃から―40℃):アイスクリームメーカーの絶大なる信頼性。
3)Tight & Accurate Temperature:Chilled Cargoについても―0.1℃の温度管理ができる。
4)Fast Pull-down:力があるため短時間で設定温度到達し、そのあとは余裕で指定温度を保つため結果として省力である。
5)Lightest Machinery Weight:他社と比べ1台当たり約15㎏軽い。船の大型化に伴い軽量なReefer Unitは重要である。船の電力省力化に大いに貢献する。
6)Lowest Energy Consumption:上記の点からMagnum PlusはReefer Containerの一生を通じ省エネである。
軽量Unitで繊細な温度管理、幅広い管理温度範囲、パワフルな冷凍能力のMagnum Plusの採用が荷主方々のニーズに合致することは間違いない。その意味で、邦船3社定期船統合会社、Ocean Network ExpressのMagnum Plus採用は、既存の荷主からの、より高い信頼を得ることに止まらず、新規荷主の獲得に大いに貢献することは間違いない。更に、Thermo Kingは、その決定に対して、全面的な応援を惜しまないことは言うまでもない。