水性塗料の義務化が与える影響は? / コンテナ市況レポート 2016年6月

  • by 中尾 治美

今年の関東は6月5日に梅雨入り。平年より3日早く、昨年より2日遅い。例年日本の梅雨は7月20日頃まで続く。この梅雨の時期にアジサイの花は生き生きとしてくる。雨に打たれる度にそのアジサイの色は輝きを増す。各家庭の庭の隅でこの時期を待っていたかのようにアジサイは艶やかな淡いピンク、空色、紫色に変化し、その存在をアピールする。アジサイは、湿度の高い日本の梅雨の不快感を癒してくれる。そんなアジサイの花を見ながら毎日、駅に急いでいる。

世界は大きな変化に差し掛かっている。米国大統領選挙の行方は民主党候補の前国務長官ヒラリークリントン氏と共和党推薦の不動産王ドナルド・トランプ氏の争い。米国初めての黒人大統領、オバマ氏の後任に米国初の女性大統領の誕生か?欧州連合(EU)の今後を左右する6月23日に行われる英国の欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票。

世界経済はより不安定になっている。6月6日米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長の米国追加利上げの先送り。原油先物相場の上昇。中国の5月の鉄鉱石、原油輸入が数量ベースでそれぞれ前年同月比、2割、4割増えた。その結果、資源国の通貨、ロシアルーブル、豪州ドル、ブラジルレアル、カナダドルが米国ドルに対して上昇に転じている。円は6月10日現在、$1.00=107.10円、年初来13.3円、11%の円高である。一方、米利上げになると資源国からの資金の流出が起こる。いずれにしても世界の投機マネーは利益を求めて動き回る。

邦船3社(NYK, MOL, K Line)は5月中旬、Hapag Lloyd, 陽明海運、韓進海運3社と組んで来年4月から“The Alliance”の名前で第三のアライアンスを結成することを発表した。これで東西航路において”2M”、“オーシャン・アライアンス“に対抗することができる規模のアライアンスとなる。そのため各船会社は来年からの新アライアンス再編成に向けてコンテナの整備を進めることになる。また、この時期大手の船会社の何社かは、夏の需要期に向けて自社購入、リース会社からの長期リースの調達を図った。量的には代替需要が主である。既存の古いコンテナの入れ替えと安い長期リースを組み込むことで修理費用の軽減、オペレーションコストの減額を狙っている。新造コンテナ価格は$1400 per 20fで落ち着いている。中国コンテナメーカーの新造コンテナ工場残は、690,000teuで先月より微減で推移している。

中国コンテナメーカーには、環境問題のため水性塗料の使用がこの7月より義務付けられる。現在のところ中国南部の広州からのスタートなるが、来年4月までには中国全土でコンテナの塗装は水性塗料に置き換えられることになる。一方、水性塗料の防蝕性に対しての課題は残る。水性塗料のコスト、そのための工場設備整備等の対応の必要性を考えると水性塗料コンテナの価格上昇は避けることはできない。そのため現在、従来の溶剤型塗装での新造コンテナの駆け込み需要、生産も6月はありそうである。水性塗料製のコンテナの新造価格、修理代金、寿命如何によってはコンテナ製造を中国以外の国が始める可能性は否定できない。

業務拡張のため5月中旬にハローワークに人材紹介をお願いした。多数の応募をいただき、応募はすでに締め切ったが、多くの優秀な人材が応募してくれたことに感謝している。特に優秀な女性が多く、頼もしい限りである。新たに加わる意欲ある社員と弊社の夢を実現し、輝かしい将来を一緒に享受したいと考えている。

関連記事

TOP