冷凍貨物輸送の主役はリーファーボートからリーファーコンテナへ / コンテナ市況レポート /2016年2月

  • by 中尾 治美

中国の旧正月は太陰暦を採用しているので我々の太陽暦では今年は2月7日(日)から始まり13日(土)の7日間が法定休日となる。2月14日(日)は振替出勤日となる。今週は正月気分がまだ抜けきれない人が多いのではないだろうか? コンテナ工場は1ヶ月以上休むところもあると聞いている。いずれにしても我々のコンテナ業界が通常業務に戻るには3月まで待たなければならない。

旧正月は中国最大の伝統的な祝日で、1月24日から3月3日までの40日間が春運と呼ばれ故郷に帰る国民大移動が起こる。今年はその期間に延べ29億人が移動すると言われている。そのエネルギーたるや想像を絶するものがある。中国の力強いエネルギーはこの旧正月から生まれるのではないだろうか? 旧正月の休みで一年の疲れを癒やし、新たな一年の活力を養い、世界の工場として世界の経済を引き続き牽引してもらいたい。世界の原油消費量の12%を占めかつ世界のGDPの約15%を占める中国の経済減速はあらゆる国に影響を与える。2008年9月に起こったリーマン・ショック時は4兆元(約60兆円)の経済対策で世界を救った。そのためにも過剰生産能力、過剰債務・不良債権の問題をどう処理するか?中国の次の一手に期待したい。

1月29日、日銀の黒田総裁が円安誘導、市中へ現金回帰で株高、投資を促すマイナス金利(銀行から預かる当座預金の一部をマイナスにする金融政策)を打ち出した。しかし世界株安は止まらない。2月11日のニューヨーク株は2年ぶりの安値、1万5660ドルをつけ、米国市場で1バレル=26.05ドル(12年9ヶ月ぶりの原油安)をつけた。2月12日の東京市場で日経平均株価は1万4,874円、1年4ヶ月振りの安値。円相場は1ドル=111円88銭を付けた。1月30日の1ドル=120円62銭比べて8円74銭の円高となった。低リスク通貨の円が買われた。

原油安の長期化を受けて産油国の景気が悪化。原油ファンドが財政赤字を解消するため世界の株式市場から資金を引き上げている。また資源価格の落ち込みによる金融機関の不良債権による財務悪化の懸念から欧米の銀行株が値下がりしている。ヘッジファンドは運用成績の悪化でファンドの閉鎖・清算に追い込まれている。世界投資マネーが世界経済の先行き懸念、リスク回避から安全資産である国債、金に資金を移している。

一方、2015年はM&Aの総額が8年ぶりの過去最高を記録(5兆円超え)。2015年のM&Aの特徴は100億ドル(約1兆1800億円)を越す案件が9割も増加したとのこと。資源安で世界経済が低調に向かう中、大手企業は短期的にコスト削減ができ、長期に成長が見込めるM&Aに向かう。M&Aは設備投資をせずに規模拡大を狙え、結果的に競争相手を減らせる一石二鳥の手段である。企業の大型化、寡占化は暫く続く構図が見えてくる。経済の流れの変わり目は常にBusiness Chanceであると考えるべきである。

業界紙、Shipping Guideによると2015年の世界の冷凍・冷蔵船、リーファーコンテナの海上輸送量は1億550万トンで40f HC Reefer換算335万本に相当。ドライ貨物荷動きの2.7%を占める。2015年末の世界のリーファーコンテナ総量は260万TEU(前年比6.5%増)。リーファーカーゴは年率4~5%の成長が2020年まで見込まれる。一方、冷凍・冷蔵船のシェアは2000年の60%から2014年には26%に低下。冷凍・冷蔵船の規模は2025年までに41%減少が見込まれている。それに呼応するように定航船会社はリーファーコンテナの増強に力を入れている。

Reefer Unitメーカー、Thermo King 社製のMagnum Plusは冷凍温度が他社より-10度C低く冷やせる能力があり。温度領域は-40度Cから+30度Cをカバーする。これはマイナス温度を重視する冷凍マグロ、アイスクリームを高品質のまま運べるので最適である。パワーの有る冷凍能力を持ち、庫内を急速冷凍できるため外気温が高い地方でその威力を発揮する。その結果省エネの冷凍機である。その上、野菜、果物の種類毎にO2,CO2をコントロールするAFAM(passive CA)を備え、窒素ガスで最適な野菜、果物の鮮度を保つActive CA  (Optima)の近々市場への投入が待たれる。現在、多くの船会社の注目を得てMagnum Plusはそのシェアを伸ばしている。

現在のドライコンテナの新造価格は$1400per 20fで、新造コンテナの工場残は160万TEUを切っている。船会社の旧正月前の駆け込み需要が見られ、長期リース残を含め自社新造コンテナと入れ替えた結果である。

1月中旬下、2年ぶりに下関、門司、博多、大分のお客様訪問とSliding Doorコンテナの検品を兼ねて駆け足で回ってきた。北九州地区はアジアの玄関口として中国人、韓国人の観光客で賑わっていた。九州は九州の特徴を出していけば海外からもっと多くの観光客を呼べると思う。新鮮な魚介類、ラーメン、雄大な自然を堪能して帰ってきた。

EFインターナショナルは1月に500万円の増資を行い、払込資本を2,000万円とした。これも増えている注文に迅速にお応えし、特に大口のお客様の要望に応えるためである。また、4月にはJR桜木町駅の近くの新事務所に移転を予定している。現状の2倍以上のスペースを確保し、新たなスタッフを加えお客様に信頼、満足してもらうために、さらなる飛躍を図りたい。

 

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