昨年12月15日付けの日刊カーゴによると商船三井が2万TEUのメガコンテナ船6隻の発注を検討しているとのことである。マースクラインのトリプルE、18,000TEUあるいはChina Shippingの19,100TEUが限界かと思っていたがそうではなさそうである。
船会社も激しい運賃競争の中でのコスト削減に努め、それに他社との差別化、競争力をつけるためにはより大きな大型船を他に先駆けて導入できれば大きな力になるのは間違いない。世間では18,000~19,000TEUの大型船が限界かと言われていた中での2万TEUの話である。商船三井が投じた一石の波紋は大きいと言える。もしも実現するなら保守的な日本船社としては画期的決断である。エールを送りたい。
日本郵船は8隻の14,000TEUを16年より投入、川崎汽船は10隻の14,000TEUを今年の3月から投入する。いずれにしても、邦船3社とも世界に対して定期船部門に深くコミットすることを宣言したわけである。海外展開している日本の企業、荷主の方は頼もしく思われたことであろう。日本郵船の“世界のコンテナ輸送と就航状況”によるとコンテナ船竣工量2014年が158万TEUで、2015年に184万TEUの過去最大を見込むが、2016年には91万TEUと100万TEUを切り船腹過剰は改善に向かうとみている。一方、2015年の世界のコンテナ荷動きは2014年が前年比5%増、2015年は5~6%増を見込んでいる。今年は船会社として底堅い運賃回復が期待できるのではないだろうか。
今年のGDPの成長率をIMFは前年比、全世界は3.8%, 米国が3%、ユーロ圏は1.3%、中国も7.1%見込んでいる。但し、ギリシャのユーロ離脱問題、それに拍車をかけたのが5年8カ月ぶりに1バレル50ドルを割り込んだ原油先物市場のWTIの原油価格の影響で世界の株式市場は年初から値を下げている。東京株式市場は6日には東証1部銘柄の9割以上が続落し、あっさりと3週間前の1万7000円を割ってしまった。5日の米国の株式市場の331ドルの大幅下落の影響を受けたもので、6日の米株式市場の終値は前日比130ドル01セント(0.7%)安の1万7371ドル64セントとなった。リスク回避のために動いた投資ファンド、オイルマネーの影響である。大きな流れで見ると、年後半には日本の株式も2万円台に達するとの見方もあり、米株式もまた値上がりの余地はまだあると見られている。原油価格の低下は底を打ったのではとの見方もある。原油価格が下がることは実体経済からすれば歓迎すべき現象である。世界経済にとってプラス要因が多いと考える。
現在の新造価格は$1950 per 20f、新造コンテナの工場残は60万TEUある。その半分は既に船会社によって抑えられているようである。中国のコンテナ需要は中国の旧正月が今年は2月18日からの7連休となるため、更に昨年の旧正月が1月31日に始まったのに比べ2週間以上遅いため、中国からの輸出はかなりのコンテナの量が出ることが予想される。
他方懸念材料もある。それは北米西岸港湾労組(ILWU)と使用者団体(PMA)との労働契約が昨年7月1日に切れた後、まだまとまっていないことである。荷役作業の港湾作業員不足、職場放棄による荷役スローダウンの影響とトラック不足等で本船荷役遅れ、港の貨物滞貨によりコンテナ船の沖待ちが起こっている。その混乱を避けるために一部、米国東岸、カナダ経由で輸出されている。但し、コスト、時間がかかる。当面この問題は目が離せない。早急に解決されることが望まれるが、この現状はリース会社にとって大きなプラス要因となる。船会社が北米西岸からのコンテナの空回送が思うようにできない事がコンテナの特需を生む。そのためにリース会社は例年以上に投機的発注を行うはずである。
基本的にどのような状況にあっても世界の物の動きは変わらない。物量的に2014年より増える。その意味でコンテナ業界にとって2015年が良い年になることを祈りたい。