邦船各社に与える円安原油安の影響は? | コンテナ市況レポート | 2014年12月号

  • by 中尾 治美

11月中旬にロッテルダムで開かれたIntermodal Europe 2014に参加後17日(月)朝、成田に到着し、その足で会社に出勤した。帰国すると何か世間が騒がしい。時差ボケではっきりしない頭で何が起こったのかといぶかっていると、翌日18日(火)安倍首相が消費税10%の実施時期を1年半の延期と“アベノミクス”について国民の判断を仰ぐために衆議院解散を決断した。何故今解散かと理解に苦しんだが、強いリーダーシップ政権を作るための決断であると理解する。

既に12月2日に公示され、14日(日)の投票日に結果が出る。ほとんどの新聞が自民党圧勝、参院で否決された法案を衆議院で自民党が再可決できる3分の2(317議席)を超える可能性も示唆している。安倍政権は2013年7月に実施された参議院選挙で既に国民の支持を受けて保守政党として過半数をとつている。その後の安倍政権の真摯な政治姿勢に対する国民の信頼は厚く、安倍政権に変われる政党はない。現在の民主党始め野党は烏合の衆で安倍政権に比べると魅力を欠く。これも2012年まで3年半政権を担っていた民主党に対する国民の失望の反動 - 2度自民党以外の政党に国民は政権を任せたが、国民は2度とも裏切られた。やっぱり自民党以外信頼できる政権は無いという安倍政権に対する期待であると見る。

日本はアベノミックスの景気浮揚政策の一環の円安、それも7年ぶりの$1.00=120円の急激な円安に見舞われている。12月8日(月)のみずほ銀行TTSは$1.00=121.60との比較を見ると、1ヶ月前の10月31日(金)$1.00=109.34円から12.26円、11.2%の円安、9月1日(月)$1.00=104.14円、17.46円、17.5%もの円安。過去1ケ月で10%以上、過去3ヶ月で18%近くの円安に見舞われている。このような短期間での急激な円安は我々国民にとりかなりの負担となる。輸入物価が全て値上がりし我々の日常の生活を圧迫する。8日の日経平均一時1万8,000円台を回復と言われても我々庶民には有難味が湧かない。

多くの国民は、この円安による物価上昇に耐え、安倍首相を信任するということは、難問題であるプライマリーバランス健全化の断行、アベノミックスの第三の矢である成長戦略の追加実施での景気浮揚、賃金アップ、少子高齢化、福祉社会に対する明るい日本の未来設計、粘り強い外交政策を託していると考えてほしい。引き続き選挙後の安倍首相の行動を見守っていきたい。

11月27日の石油輸出国機構(OPEC)の減産見送りで、ドバイ原油は1バレルあたり$67台となり5年ぶりの安値を記録し、6月のピーク時から40%の下落となった。米国のシェールオイルの採算が1バレル当たり$65とみられるが、投機マネーの動向いかんあるいは原油安が消費国の経済活性化を引き起こすとすると、今後原油価格は上がっていく。

ほとんどの大手船会社は荷動き増加による消席率の改善、運賃水準の安定及び企業努力(減速運行、サービス航路の見直し等)で2014年第3四半期の業績は黒字に転化した。その上、この原油安効果が船会社の収益改善に与える効果は大きい。邦船3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)の場合、これから半年の経常利益を180億円程度押し上げる効果が期待されている。

一方、中国製鋼材は国内経済減速により過剰生産鋼材が国内にあふれ、行き場を失い、その鋼材は海外に向かい始めている。そのため中国のコンテナメーカーのコンテナ価格も$1,950 per 20f前後で推移している。但し、旧正月明けにはコンテナ価格は上昇するのではないかとの思惑もある。そのため大手リース会社はこの時期にできるだけ投機的発注をすることで新造コンテナの確保を狙っている。現在の中国コンテナメーカーの工場残は、60万teuとみられている。しかし第4四半期から2015年の旧正月までのリース会社、船会社の合計発注量は一説には60万teu以上が予想される。ちなみに2015年の中国の旧正月は2月18日(水)から2月24日(火)までの7連休である。中国のコンテナ工場は連休後、正常化するのに最低1週間ぐらいかかるためコンテナ工場との取引開始は、旧正月終了後、1週間くらいの余裕を見ていた方が良い。とにかく2月中は仕事にならないと考えた方が良い。

Intermodal Europe 2014の後日談であるが、無事に一日目が終わり、仲間と夕食に日本食のリクエストがあり、日本人の私が案内することになった。いざ探すとなると見つからない。“Sushi”, “Yakitori”, “Hand-made Sushi”、“Udon-Noodles”という看板が目につく小さなファーストフード店は大通りに面したところにいくつかあったが、時間が早いのかあまり人が入っていない。それに日本食ご指名のため、それなりのランクの日本食を提供するレストランをと考えた。ホテルからそう遠くないロッテルダムの繁華街のはずれに“Izakaya”の看板で日本料理を提供するレストランを見つけた。洒落た店内で、注文もテーブルにメニューが表示されスマートホンのように指で食べたいものを注文する次世代のレストランであった。それなりに名が知れているらしく、中国の大手のコンテナメーカーの方々が先客で食事をされていた。彼らに挨拶を終え、日本にいるような気楽な気持でコース料理をお願いした。出されたものはタイ料理とコラボみたいで、トムヤンクンらしいスープ、くさや(?)を使ったサラダ、パクチが利いた鴨料理、“Udon-noodle”、それに最後に寿司、デザートはプリンの上にブランデーで甘く味付けしたものに火でアルコールを飛ばす派手なパフォーマンス付であった。いつものようにがつがつと平らげた。日本料理を所望した友人が、何品か手を付けていない、気になったがその時は”残すと日本食は後でお腹すくよ!“と勧めた。ほかの一人も同じように手を付けていない。旅の疲れで食欲が無いのかもしれないと思ったりしていた。ところがホテルに帰ると、おなかの調子が悪い、下痢気味である。下痢止めの薬を持参していないことを悔やんだ。喉のところまでムカムカと食べたものが上がってくるような感じであったが、時差ボケもあり、下痢で体力も消耗しているので早めに床に就いた。夜中に何度かトイレに行ったが、下痢が止まらない。明日は大切な人と会う二日目である。朝方5時頃急に吐き気がして今まで胸につかえていたものを胃が空になるまで吐き出してしまった。良くもこんなたくさん胃の中に抱えていたものだと我ながら感心していた。朝食抜き、温かい日本茶、紅茶で胃に流し込んで水分補給に努めた。一日、立ちっぱなしとなるため体力に不安があった。此のまま、帰国せざるを得ず、入国でエボラ出血と間違えられて2週間隔離されるのではないかと考えた。その時にたまたま日本のReefer Unit Maker、ダイキンの福田さん、古田部長に助けられた。話をすると貴重な手持ちの最後の一粒の下痢止めと整腸剤をいただいた。それがきっかけで翌日から体調が元に戻った。無事この出張を終えることが出来た。旅先の親切さは本当に身に染みる。改めてここでお礼を述べたい。

ここで小生が言いたいのは、“和食”がユネスコの無形文化遺産に登録されたのは良いのだが、それに対して国がどのような後押しをしているのか?日本でいくら日本食の良さを自前自画自賛しても海外に発信していかなければ意味がない。はっきり言って海外の日本食のお店の99%のオーナーは日本人ではない。彼らのほとんどが日本に行ったこともない人たちが日本料理と称して食べ物を出している。鰹、昆布を使用して出汁を取っていない。衛生面然り、まな板、包丁はしっかり清潔にしているのだろうか?日本料理の基本的な作り方は食事を有料で提供する限りは最低限守ってほしいものである。少なくともそれをクリアーしているお店が日本食の看板を掲げられるようにしたらどうであろうか?ミシュランの格付け的な物が今必要である。そうでなければ、日本料理は世界の人から誤解を受け、本当の日本料理に出会うまで解くことが出来ないと思う。

もう一つ言いたいのは、若い人にもっと日本料理を理解してもらい、海外に出て日本料理を紹介して欲しい。それは海外での起業の機会を若い人に与える。料理には言葉はいらない。その人たちが、本当の日本の姿、日本人を世界に理解してもらういい機会である。世界はそれを待っていると確信する。日本の若者、世界に出よう!

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