新造コンテナの価格はほぼ横ばい | コンテナ市況レポート | 2014年9月号

  • by 中尾 治美

9月に入り、今年もあと4ヶ月を残すのみである。この頃、実に一年が経つのが早く感じる。折に触れて、「えっ!もう3月?」、「本当に半年経った の!?」 と焦りともつかない気持ちで過ごしているのが現実である。しかし時間の経つのに驚いてばかりいてもしょうがない。時間は場合によっては、短くも長くも感じ る時がある。何をしてもしなくても人間にとって、時間の経過が同じなら、自分なりに充実した日々を過ごすことが一番である。小生にとってはEFインターナ ショナルの仕事を通してお客様に喜んでもらい、更なる喜びをお客様と享受することができ、その喜びを分かち合えるスタッフを増やしていきたいと考えてい る。

人のため、国のため、日本で一番充実した日々を送っているのは、9月3日から第2次安倍政権がスタートした安倍首相かもしれない。女性の閣僚が過去 最多と 並ぶ5名を採用した。一方、精力的に海外に出かけ、日本のトップセール外交を行っている。就任以来、49ヵ国目の訪問国となるバングラデシュ首相と9月6 日に会い日本の非常任理事国の支持を取り付けた。できるだけ多くの国に日本という国を理解してもらうためにもこちらから出向くことは必要である。そうすれ ば日本に対する好感度が上がるのは間違いない。

2020年に東京オリンピックの開催を控え、日本を世界にアピールする良い機会である。世界平和のために、大いに世界でリーダーシップを発揮してほ しいと 思う。今までの歴代の首相(小泉首相は別格である)は内向きで、海外に対してアピールが下手であったし、怠慢であったと言っても過言ではない。その点、安 倍首相にエールを送りたい。一方、野党は安倍政権の政策を大局的観点に立って、是是非非の態度で国難に当たってほしい。その方が政権交代野党として、国民 に支持されると考える。

円が2008年のリーマンショック以来の円安になっている。それも8月20日まで$1.00=Yen 102台で推移していたものが、その後、9月に入って急激に円安、ドル高に振れて、$1.00=Yen 105の壁を越えてきた。産業の空洞化、アジア向け円建て輸出比率の増加により円安のメリットは限定的である。その反対にエネルギー価格の上昇、輸入企業 への負担増というマイナス要因が大きい。米国が10月に量的金融緩和を終了し、ゼロ金利の解除に踏み切れば、海外に出ていた余剰資金が米国回帰すると更な る円安が予想される。シェールガス革命が米国に与えた自信。そして製造業の米国内回帰が始まっている。米国の8月の失業率は6.1%に改善。非農業部門の 雇用者数は前月比14.2万人増。米国経済は着実に改善している。11月に中間選挙を控えるオバマ大統領にとっては朗報である。

世界の日本への期待にの応えるためにも、アベノミクスの第3矢の成長戦略を早急に実現する必要がある。安全基準をクリアした原発の稼働を期限付きで 再稼働 を進め、当面のエネルギー危機を徐々に解決する。法人税の減税で日本企業の競争力を高める。円安を生かし、観光客を誘致し、観光立国に力を入れ地方の活性 化を図る。また、製造業の大規模な日本回帰は難しいが、いろいろな面のSoftwareに関する知識集約型業務の日本回帰が図れるのではないか?農業も生 産物の機械化、高品質化で競争力を高め、魅力的な働き場所にしていけば、若い人を呼び戻すことができるはずである。安倍首相に国内景気の浮揚を早急にお願 いしたい。

中国の全工場の新造コンテナの在庫数は、8月末55万teu。コンテナ価格も中国での鉄鋼生産の余剰感からか $2,100 per 20fと先月と変わっていない。9月は船会社にとって一番忙しい月である。ほとんどの船が満船状態で、多分スペースを確保するのが難しい状況になっている と考えられる。そのためこの時期の運賃値上げ実施は船会社にとって大切なことである。その荷物を確保するためにも需要地でのコンテナの確保が欠かせない。 ほとんどの船会社は既に必要なコンテナの手当を終えている。船会社は中国では新造コンテナを中心に、アジアの需要地ではリース会社のデポ・コンテナに頼っ ている。自社コンテナ、リースで手当したコンテナを荷物の出具合により自分のフリートに取り込んでいる。今年は前もって手当したコンテナの数が足りないぐ らいの荷物が出ることを期待したい。

川崎汽船が5×14,000 teuのコンテナ船を2018年に追加投入するための発注を決めた。これで2015年に出てくる5×14,000teu船と合わせて10隻の 14,000teu船で自社の輸送力を10%向上させ、運行コストの30%削減で競争力をつける。一方、日本郵船は現在シンガポールに置いてあるコンテナ 船の積み付けプラン作成業務を九州の熊本に来年3月までに移管すると発表した。シンガポールでの人件費高騰と能力のある人材の長期確保の困難さが原因との ことである。この点で現状の円安はある意味では船会社始め、その他日本の海外進出企業の本社機能の日本回帰の契機になるかもしれない。日本での雇用確保の 意味でも日本回帰は是非検討に値すると考える。世界はますます距離的に近くなっている。業務分担を日本で行う分と海外で担う分と上手く使い分け、再度日本 に本社機能を戻すか、あるいは業務回帰を計り世界で競争できる力を付けてもらいたいと願っている。

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