コンテナ市況レポート 2013年7月

  • by 中尾 治美

長さ12m、重さ8.5トンのクルーザーがリズミカルな力強さでグイグイと東京湾の波を押し分けて進んでいく。係留地から船外機で出た後は、順調に帆に風を受け、三浦半島沿いに南下し、ゆったりとセイリングを楽しんだ。梅雨の合間にたまたま晴れた6月末の波の穏やかな土曜日であった。昼過ぎに三浦半島観音崎灯台沖を折り返した。十数年振りの経験である。米国のネバダ州とカリフォルニア州の州境にある湖、レイクタホ(Lake Tahoe)での10mクラスのヨットを何艇かで競争したのを思い出した。小生の帆の引き具合が遅く、うまく風を取り込めず二番手になった。まさに風との格闘技のスポーツである。

ニュージーランドのオークランド港、オーストラリアのシドニー港、米国のサンフランシスコ湾での週末のヨットが湾を覆う景色は壮観である。日本は海洋国にも拘らず、ヨット、クルーザーを楽しむ人は少ない。もちろん持てる身分ではないということかもしれないが、一人当たりの日本のGDPは米国、オーストラリアとそう変わらない。また、ニュージーランドよりも高い。

7月15日(月)は国民の祝日“海の日”である。1995年に制定、1996年7月20日に“海の記念日”として実施された。海運業界に従事する人々の長い念願が成就した結果である。その実現のために小生も署名したのを覚えている。それは国民に海に関心を持ってもらいたいという先人の願いである。日本の貿易額の73%以上を海運が占めている。普段我々はそのことを忘れている。

海は仕事の場であるが、夏に海水浴を楽しむ以外、ヨットでレジャーを楽しむ余裕はない? 江戸時代の260年に及ぶ鎖国政策の所為? 大海原に出ることを禁止された江戸時代、日本人のDNAにそう刷り込まれてしまったのか?しかし江戸時代以前の日本人は木造船を操り海外に進出していたのである。時代がそうさせたのか、いずれにしても現在、日本人はもっと海、海外に目を向けるべきであり、向けさせる教育を切に望みたい。

7月4日(木)公示、7月21日(日)は参議院選挙である。自民党の優勢が言われている。ポピュリズムに走る政治はやめてほしい。政治家には政策の重要度に応じて、10年、20年先、いや100年先を見越した政治をやってほしい。目先の利益団体の代弁者であってはならない。日本人の船員の数が減っている。一度失った技術、技能をなくしてしまってはその分野でのリーダーシップを取り戻すことはできない。いつの日かその技術、技能がまた、国を救うことになるかもしれない。できるだけ技術、技能を温存し、継承していく必要がある。

米国の6月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比19万5000人増加で速報値を上方修正した。失業率は7.6%と前月と同じであるが、株価上昇、住宅、自動車の個人消費が堅調であり、景気の先行指標である5月の耐久消費財受注額も市場予測平均を上回り、2か月連続のプラスであった。米国景気は年後半から上向くという見方が多い。

日本の内閣府の発表によると、5月の景気動向指数(2010年=100)の速報値は105.9で、前月比0.8ポイント上昇。6か月連続の改善。日本の景気は昨年の11月を底に景気回復局面に入ったと見ている。

今年から来年にかけて20隻の18,000teu船が投入される。コンテナ船のメガ船化に伴い、アライアンスも巨大化している。メガ船のスペースを埋めるためにアライアンスも巨大化している。来年第2四半期にはP3ネットワークと呼ばれるマースク、MSC, CMA/CGMの3社のアライアンスが出現する。これでグランド、ニューワールドの6船社アライアンス、エバーグリーンとCKYHの5船社アライアンスの3巨大アライアンスグループ体制となる。これで運賃の安定化ができるのか?一方、アライアンスの巨大化に乗り遅れたものは退場せざるをえないのか?否、巨大アライアンスがフィーダー船に頼らざるを得ない港に商機があるように思う。いかなる状況でもニッチビズネスはあると信じる。

中国の新造コンテナ在庫は引き続き100万teuを超えているようである。値段も$2,050 per 20fまで下がっているようである。リース会社は工場在庫を見ながら、一定の発注はしているようである。一方、船会社がアジアで返却し余剰在庫化したコンテナの売却を促進している。同時に、他のアジア需要地にOne Way使用で提供し、デポスペースの確保に努めているようである。

弊社は今年3月で4年目に入った。早いもので、この7月で新しい事務所(東神奈川)に引っ越して丸1年である。現在5つの代理店を請け負っている。大きな柱になる代理店である。弊社を信頼し代理店を任せてくれた会社に頼んでよかったと思っていただけるようにしていきたい。これから将来もお役に立てると考える代理店業務は引き受けていくつもりである。7月に新たに有力なメンバーが弊社に加わり、6名体制で出発する。企業は人なりといい、人がその会社の将来を決めるといっても過言ではない。いい人材を確保し信頼される会社にしていきたいと考えている。もちろん人材確保も取引先のお客様に喜んでいただけるためのものである。同時に、10年、20年先を見据えた会社でありたいと考えている。引き続き皆様のご支援を賜るように頑張っていく所存です。宜しくお願い申し上げます。

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