コンテナ市況レポート 2012年3月

  • by 中尾 治美

マグニチュード9の大地震が太平洋側の東北地方を襲って、今年の3月11日で1周年になる。約2万人の死者と行方不明をもたらした。まだ35万人近くの避難者を抱えている。岩手県、宮城県、福島県3県から出た瓦礫(がれき)2252万8000トンの内、94%がまだ残されたままである。政府は2014年3月までの処分を目指しているが、復旧、復興の妨げとなっている。その上、福島原発の放射能汚染地域の除染処理は気の長い時間との戦いである。震災がもたらした爪痕は大きい。政府もその対応に苦慮している。2009年9月に戦後長期政権自民党(1993年8月から1994年6月まで野党)に代わって発足した行政経験2年半の民主党の行政能力では、この国難の処理は力不足と言わざるを得ない。このことも被災地の人にとって不幸な事であったと思う。

東北地方の復興は被災地の住民、自治体、民間企業に任せ、国は法整備、資金的なバックアップをすることに徹底すべきである。その土地のことは、地域住民、自治体、そこでは育まれた民間企業が何をやるべきか良く知っているはずである。地方経済の活性化だけでなく、その地域に根付いた民主的な行政が確立されると信じる。それが今の日本に必要ではないのか。

一方、岩手県、宮城県、福島県3県の瓦礫(がれき)処理について提案をしたい。海上コンテナは瓦礫(がれき)処理の一時保管に最適である。20Fコンテナには28トンが積載可能である。2トンのフレコンバッグで単純に14個積み込める。また古さを考量しても10個は積めるのではないか。必要であれば、2段、3段とコンテナターミナルのように高く積むことも可能であるため限られた土地を有効利用できる。その上、何時でも何処にでも容易に移動できる。2年間限定として使用した後、売却できる可能性もある。この点も注目すべき点である。

中国の新造コンテナの工場在庫は現在30万teuまで減っているようである。大手リース会社に対する新造コンテナの売却価格は$2,400 per 20Fで少し上げ基調である。船会社からのリースコンテナの引き合も多いと聞いている。船会社が4月から実施するアジアから欧州向け運賃修復、北米向けのBunker Surchargeの値上げで駆け込み需要が出ているためと考える。まだ95~98%の稼働率を誇るリース会社は今年も積極的にコンテナの発注をしていくであろう。

大手船会社は、この3月から船の運航効率を高めるために、他のアライアンスと組んで共同運航を始める。

■日本郵船が所属するグランドアライアンスと商船三井のニューワールドアライアン
■川崎汽船が所属するCKYHアライアンスがEvergreen Shipping
■MSCとCMA-CGM

世界経済は確実に回復に向っているようである。欧州中央銀行(ECB)の2回目の欧州銀行(800銀行)に対する資金(5295億ユーロ=約57兆2,000億円)と初回、2011年12月との合計金額(4,892億ユーロ)は100兆円を超える。米商務省は、10~12月の速報値の成長率を0.2%上方修正し、3%とした。1月の失業率は8.3%と5カ月連続で改善されている。オバマ大統領は法人税を25%に下げ製造業の米国回帰で強い米国を目指している。一方、緩和マネーが世界の株価動向を示すMSCI世界株価指数を年初に比べ世界株式相場を約9%押し上げている。日本は復興費用としてこれから10年間に総額23兆円を計上する。日経平均の株価も日本企業の収益改善を受け震災直前の株価、10,434円に近付いてきた。日本の上場企業の配当は2012年3月期は3年振りの高水準の約5.5兆円となる見通しである。日銀の2月の追加金融緩和で円高も修正されてきている。日本企業の一層の業績改善が見込めそうである。

話は変わるが、アメリカ合衆国関税、国境警備局(CBP)は今年3月からコンテナを封印するメカニカルシールについて、従来のISO PAS17712からISO17712:2010(E)に変更する予定であったが、ISO17712:2010の要求にあった不法開披の証拠について第三者研究機関から明確なデータ―が得られるまで延期された。新たなシール基準は不正開披の証拠、手順、証明などの要求とボルトシールの直径が最低18mmと規定されている。この問題は米国にとって大変重要な問題である。テロ対策の一環でも有り、封印されたコンテナが開けられたり、シールが差し替えられたりすることを防がなければならない。

その点、弊社が国内代理店をとなっているTydenBrooks社のIntermodal II Bolt Seal とIntermodal IV Bolt Sealは全てISO17712:2010(E)の要求を満たしている。特にSuperBolt4はDayton T. Brown社のメカニカルテストで通常のHigh Security Sealの2倍以上の伸張力、剪断力、曲げ力、衝撃力のお墨付きをもらっている。高価な荷物あるいは大事な荷主にはうってつけである。それは通常のカッタ―では切断することができず、SuperBolt4専用カッタ―が必要であるので容易にコンテナを開けることができない。このSuperBolt4の需要は高い。

コンテナの安全性については、こちらもまた、弊社が代理店となっているFBC社のSliding Door Containerは従来の観音開きドアに比べてはるかに高いSecurityを確保しており、アメリカ合衆国関税、国境警備局(CBP)が要求している条件を満たしている。従来の観音開きのコンテナは左側のドアを右のドアの中ほどにある小さい爪のような鉄板で押えて開かないようにしているだけだが、Sliding Doorは2枚扉がヒンジで止められ開閉するため、ドアの開閉は楽で、ヒンジが内側に取り付けてあるため外側から細工ができない。願わくは、米国より今後このSliding Door Containerを使用するようにとの推薦状を頂きけるように尽力したい。

多くの荷主の方より、サイドに取り付けられたSliding Doorは荷物の出し入れが楽で、かなりの時間とコスト軽減に貢献するとの御意見を頂いている。 出来るだけ早い時期に20Fと40Fのサイドに取り付けられたSliding Door Containerの現物を使用して貰える機会を作りたいと考えている。

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