コンテナ市況レポート 2011年4月

  • by 中尾 治美

4月11日で数百年に一度の大地震が日本の太平洋側の東北地方を襲ってから一カ月になる。その沿岸地方沖合南北(縦)500km, 東西(幅)200kmの大きさの太平洋プレートが東北地方の沖合で、何百年を掛けて北アメリカプレートの下に潜り込み、北アメリカプレートがその反動で跳ね返った結果による地震である。それに伴う津波被害は未曾有の結果をもたらした。津波の高さは、10m~20m以上、場所によっては40メートル近くに達した(遡上高)。4月10日現在で、死者13,013人、行方不明者14,600人以上の犠牲者がでて、まだハッキリした不明者の数はつかみ切れていない。今でも多くの強い余震が続き、マグネチュード5クラスの余震はこの1カ月に400以上が被災地を襲いその不安は計り知れない。その中での復旧作業は困難を極めていることは想像に難くない。

予想外の出来事は福島県にある6基の原発が予想もしなかった被害を受けたことで有る。原発に対する安全神話が完全に崩れてしまった。総電力の3割を原子力発電に頼る日本政府は国の威信に掛けて原発の放射能の封じこみに躍起になっている。日本の大手企業、東芝、日立、三菱重工は其の原子力発電を世界に売り込んでいる。福島の原発封じ込めの次第では、全世界の原子力利用そのものの将来も危うい。

被災地、東北地方が自動車、電気など世界の部品供給基地としていかに重要な役割を担ってきたかクローズアップされた。そこでの経済性を追求した完成度の高いサプライチェーンが世界に対する影響は甚大で、日本の自動車会社、トヨタ、日産、ホンダの生産をはじめ韓国ルノ―サムスン、米国GM、仏プジョーシトロエングループは生産の減産、停止に追い込まれている。それは同時に今回の震災が日本の経済力(特に東北地方の被災地から)を奪う結果になりはしないか?コンテナの取り扱いが1995年当時全世界6位であった神戸港が同じ年に起った阪神淡路大地震で其の輸出貨物は神戸港に戻ることはなかった。神戸港の2009年の取り扱い高は全世界26位に後退した。

早急に東北地方のサプライチェーを後押ししている企業を国を上げて支援していかなければ東北地方の復興はおろか日本の経済力がここ数年で衰えることを危惧する。それを阻止するためにも日本政府は国力をあげて東北地方の活性化、産業の立て直しを図る必要がある。被災地にとっては雇用の確保が一番で有る。それもできるだけ早く、これからの1年が日本の将来を分ける重要な時間になりそうである。雇用が、その地域に生きる人達へ希望、将来の夢を与えるものと確信するし、復興も早いと考える。日本人ならできると日本政府を叱咤激励したい。同時に世界の国から派遣された救援隊、寄付金、救援物資、励ましのメッセージが被災者始め多くの日本人を感動と勇気を与えたことは紛れもない事実である。改めて心から感謝の意を表したい。

被災地、東北地方の最大のコンテナ港で有る仙台港も壊滅的被害を受けたため、日韓サービスで仙台港に寄港している韓国船社のコンテナの被害は甚大で、仙台港で山積みになっていたコンテナが地震・津波で倒壊でダメージを受け、中には海に流出したコンテナも多く見られた。

円は3月17日に$1.00=¥76.25を付け、1995年の79円台を超え、最高値を記録した。そのため、それまで順調に回復してきた日本の船会社、輸出企業は原油高、震災、円高のトリプル苦で3月決算の黒字圧縮・修正を余儀なくされた。一方リース会社は相変らず、98~99%の高い稼働率を維持し全世界の彼らのデポにコンテナ在庫は見当たらない。資金に余裕があるリース会社は新造コンテナの発注に余念が無い。中国の新造コンテナの在庫数も先月の50万TEUから40万TEUに減り、この1カ月で10万TEU以上のコンテナが船会社にリースあるいは引き取られたことになる。しかし、中古コンテナマーケットは今も出物が少なく値上がり傾向にある。それだけ船会社が既存の古いコンテナを継続して使用していることがうかがえる。中国の新造価格は旧正月前の20F一本当たり$3,000超から、現在は$2,950前後で推移しているようであり、暫くはこの価格で推移するものと考えられる。それは鋼材の値下りが働いている。但し、中国のコンテナメーカーは必要な雇用の確保のため人件費の値上を受けざるをえない。しかしコンテナメーカー強い需要に支えられ、また国からの戻し税(増値税)を享受し、高いコンテナ収益率を記録している。しかし、一方でコンテナの品質については相変らす問題を残している。

蛇足で有るが、先日、4月2日から4日まで駆け足で上海ホンチャオ空港から車で4時間かけて、ジャンスウ省ヤンゾウ市(Yangzhou in Jiangsu)に行ってまいりました。そしてYangzhou Runyang Logistic Equipment Co.,Ltd (RYC社)でFBC社製の20f Hybrid Open Top Containerと20ft Full Side Open Sliding Door の製品を見てまいりました。早速ですが、其の製品のVideoを弊社EFIのホームページ載せましたのでご覧いただければと思います。 両製品ともISOの20fの仕様になっております。製造先は中国のCIMC系列のRYC社です。画期的なFBC社のSliding Doorがコンテナシールの安全神話を崩し、既存コンテナに取って代わる時代が来ることを予感するものである。

帰国に当たり、ヤンゾウ市から上海の空港まで新幹線を利用したが、其の快適性は日本の新幹線と同じで、スピードは時速300km以上を出し、350kmの距離を1時間半での旅であった。ほとんどの席が入れ替わりはあるものの空くことはほとんどなかった。これが物と人のダイナミックな動きがある今の中国なのである。技術的に先進国と遜色ない所に来ているし、顰蹙を買う中国の人達のマナーもあと10年もすれば、我々と変わらなくなるであろう。皆さんがその変貌ぶりに目を見張る時がすぐに来ると思います。

EFIは4月から本格的にTydenBrooks社の日本代理店としての活動を始めています。親会社のクリムソン社が1994年にTyden Branmall社、2009年にEJ Brooks社の両社を買収し、TydenBrooks社としてスタートした。両社とも米国で100年以上に渡りSecurity Sealに携わってきた老舗です。その合併に合わせて余剰となったアジアのセールスタッフ、技術者が競争会社に移ったのが船会社、顧客の不安材料となり、TydenBrooks社は日本、欧州、アジアの船会社のシェアを落とす結果となった。TydenBrooks社に言わせるとある競争会社が製造しているシールについてはTydenbrooks社の特許を侵害しているため訴訟の準備を進めているとのこと。其の訴訟如何に依っては現在特許侵害をしているシールを使用している船会社、顧客はその供給がストップする可能性があります。その点を船会社、顧客の理解を得ながらTydenBrooks社の良質なシールを競争力のある価格で提供していきたいと考えております。

EFIが1年前にKukdong MES/JJ MESの日本代理店として出発し、1年後に全世界の荷主にコンテナ荷物の安全を保証するSliding Doorの特許を持つFBC社の日本代理店としてコンテナ業界に貢献できること及びSecurity Sealの老舗であるTydenBrooks社の日本代理店として優れた製品を大切なお客様に届けて行きたいと考えております。お客様が望むのであればEFIはそれに沿った陣容、体制を整えて応えて行きたいと考えております。ご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

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